レッツ・ゲット・ロスト:Chet Baker, Let's get lost!(1987 Novus - RCA)
オリジナル・サウンドトラック
亡くなる1年前、57歳の時の録音。
ジャケットのチェット・ベイカーのポートレートが、時の流れの残酷さを示している。
額、頬、首筋の皺・・・・しかも、一度クシャクシャにされて捨てられたような写真。
わざとされたものかも知れぬが、チェット・ベイカーの経てきた時を物語るかのようだ。
チェット・ベイカー:Chet Baker (tp,vo)
フランク・ストラッゼリ:Frank Strazzeri (p)
ジョン・レフトウィッチ:John Leftwich(b)
ラルフ・ペンラン:Ralph Penland(ds,perc)
ニコラ・スティロ:Nicola Stilo (g)
1.ムーン&サンド:月と砂
2.イマジネーション
3.ユー・アー・マイ・スリル:あなたはわたしのスリル
4.フォー・ヘブンス・シェイク
5.エブリタイム・ウィ・セイ・グッドバイ
6.アイ・ドント・スタンド・ア・ゴースト・オビ・ア・チャンス・ウィズ・ユウ
7.デイドリーム:白昼夢
8.ジンガロ
9.ブラム・イット・オン・マイ・ユース
10.マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ
11.エブリスイング・ハプンズ・トゥ・ミー
12.オールマスト・ブルー
このアルバムの紹介文に、「暗さ、倦怠、絶望、達観、不安」等の文字。
果たして、どうなのだろうか。
1.老い、疲れを感じさせる声だけど、少年の純真さが衷心にある。
人の宿命、悲しくてたまらなくなる。
2.イマジネーションで、今の自分を持ちこたえさせる・・・。
3.これは、やろうとして出来る歌ではない。
決して、手抜きではないのに、脱力感が漂ってしまう。
4.ラスト・トライとは・・・。
5.少年の日のやるせないラッパ。
9.若さゆえの過ちはある、老いてはできないことがある。
10.ちょっと息苦しいね。でも、君のトランペットのいいとこだね。
チェット・ベイカーの「チェット:CHET」(1958-1959 Riverside)
チェット・ベイカーは、58年の生涯だった。1988年、オランダ・アムステルダムのホテルの窓から落ちて死去した。
このアルバムは、30歳頃のもので、まだ、老いのかげ見えぬ時に作られている。
演奏メンバー・構成は、以下の通りだが、曲によって異なる。
チェット・ベイカー:Chet Baker(tp)
ペッパー・アダムス:Pepper Adams(bs)
ハービー・マン:Herbie Mann(fl)
ケニー・バレル:Kenny Burrell(g)
ビル・エヴァンス:Bill Evans(p)
ポール・チェンバース:Paul Chambers(b)
コニ―・ケイ:Connie Kay(ds)
フィリー・ジョー・ジョーンズ;Philly Joe Jones(ds)
演奏ベンバーは、全体では多いが、チェット・ベイカーの音をしっかり聞ける。
収録は、10曲(CD版)。1曲が、ボーナス・トラック。
1曲目「アローン・トゥゲザー」の演奏メンバー。
チェット・ベイカー:Chet Baker(tp)
ペッパー・アダムス:Pepper Adams(bs)
ハービー・マン:Herbie Mann(fl)
ビル・エヴァンス:Bill Evans(p)
ポール・チェンバース:Paul Chambers(b)
コニ―・ケイ:Connie Kay(ds)
静かで、さみしげなトランペット。
バリトン・サックスが、そこに深みをつけている。
2曲目「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」の演奏メンバー。
チェット・ベイカー:Chet Baker(tp)
ペッパー・アダムス:Pepper Adams(bs)
ハービー・マン:Herbie Mann(fl)
ビル・エヴァンス:Bill Evans(p)
ポール・チェンバース:Paul Chambers(b)
3曲目「イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド」の演奏メンバー。
チェット・ベイカー:Chet Baker(tp)
ケニー・バレル:Kenny Burrell(g)
ポール・チェンバース:Paul Chambers(b)
コニ―・ケイ:Connie Kay(ds)
4.ティス・オータム
5.イフ・ユーク・クッド・シー・ミー・ナウ
出だしのビル・エヴァンスのピアノが美しい。
6.セプテンバー・ソング
7.ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
8.タイム・オン・マイ・ハンズ
9.あなたと夜と音楽と
10.アーリー・モーニング・ムード
チェット・ベイカーは、どうして。こんなに、静けさを求めたのだろうか、必要としたのだろうか、誰かに知ってもらいたかったのだろうか、胸の中に波立つものに苦しんでいたのだろうか。
思うことと、やれることは別でもある。
どうして、あんなにできたのかなとも思う。
でも、結局は、内に発するもの。
それがあってのこと。