いぶろぐ

3割打者の凡打率は7割。そんなブログ。

大学時代の友人が

2006-06-28 03:37:14 | 超・いぶたろう日記
急に、病に倒れた。
原因不明の脳の疾患らしい。
それはそれは壮絶な発作と共に病院に運ばれ、
生死の境をさまよったものの、なんとか一命を取り留め、
その経緯を俺を含む何人かにメールで知らせてくれた。

大学に入って最初の友人で、あいつの家にもよく入り浸っていた。
俺と同じく麻雀が強くないくせに大好きで、
よく揃って負けてたなあ。
感情屋で、理屈っぽくて、でも面倒くさがりで、
ちょっとナルシストで、でも正直なヤツで、
何より悪ぶりたがる善人だったから、憎めないヤツだった。
職を転々としていたが、コミュニケーション能力の高いヤツで、
すぐ新しい職場にも順応できていたようだ。

現在は、脳機能が低下している、という。

そのせいか、メールの文体もどこかおかしい。
人間なんて理性の薄皮一枚で動物だから、
脳にほんのわずかな異変があっただけでも、
驚くくらいに人格が変わることもあるそうだ。
仏教的な無常観が首をもたげてくるのを拒めない。
方丈記のいう「ゆく川の流れは絶えずして、また、もとの水に非ず」か。
じゃあ、俺の見ていたアイツはなんだったんだ、
そもそも俺って何なんだ、やっぱりただの容れ物なのか。
どうしてもそんなことに思いが行き着く。

そんな窮地の彼がくれた言葉のひとつ。
橋本治だったか、
「人間の最大の理性とは、すべてを冗談に換える力である」
目が覚める思いだった。
不毛な議論の場で、理不尽な手続きの途上で、
ひとつの感情表現の「形」を強要される冠婚葬祭の場で、
俺が漠然と感じていたことをズバリ言葉にするとまさにこんな感じ。
久しぶりだな、こんなドンピシャな言葉に出会うのも。
しかもこんなシチュエーションだから、余計に印象深い。
そうだ、確かに俺はこれを標榜しながら、
近頃文字通りの「忙殺」の憂き目にあって忘れかけていたよ。

お前のおかげで気づけたよ。
やっぱりお前は親友だな。
もう一度、お前と不毛な議論を交わしたいから、
間違っても死んだりすんじゃねえぞ。
早とちりで言葉足らずで不敵で小心で人情家の、
お前が帰ってくるまで、俺はお前のくれた言葉を体現するぞ。
お前のピンチも俺が冗談に換えてやる。
だから、頑張れよな。

Comments (2)
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