いぶろぐ

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史上最低の総理大臣

2017-10-12 13:33:03 | この国の憂鬱
「総理大臣なんて誰がやっても同じ(だから選挙に行かなくても大丈夫)」
という思い込みを、わずか数年で劇的に補正したという一点のみにおいて、
安倍晋三の功績を評価するにやぶさかではない。

しかし、それ以外の点、とりわけ知性や論理性において、史上最低級の総理大臣だと思う。

僕がなぜ安倍政権に嫌悪感を催すのかと言えば「反知性的である」からだ。
これについて「総理大臣に向かってバカとは何だ」と絡んでくる支持者がいるが、
彼らもまた同様に「反知性的」な人種で、やはり好きになれない。

念のため言っておくが、
「反知性的」とは「知性がない=馬鹿」という意味では『ない』。

そもそも「知性的」だって「頭が良い」という意味じゃない。
「科学的」と同義だと思ってもらえればいい。
つまり「第三者が検証可能」であり「社会的に共有される方法で証明される」ということだ。
「水は1気圧なら百度で蒸発する」は知性的だが、
「水は神様の贈り物」は反知性的だ。
検証不可だからだ。

「いまは国難だ!」と主張するなら、
何が、どうして、どのように国難なのか、
客観的な事実を交えて説明できなければならない。
「外国が攻めてくる!」も「○○が日本を滅ぼす!」も同様。
個人的な感情や思い込みが一定数の「共感」を集めたとしても、
それは客観的・科学的事実たり得ない。

安倍首相の主張にはいつも検証できる根拠がない。
反証を挙げられても「まったく当たらない」と無視する。
それは個人的な信仰と呼ぶべきで、知性的な態度とは言えない。
都合の悪いことはすべて無視する彼のスタイルはまさに「反知性的」というべきもの。
占いやカルト宗教、霊感商法の類いと変わらない。

そもそも、客観的な検証など必要ないと思っているからこそ、
事実を確認せず、思い込みだけで物を言う。
時には自分の主張や願望に合うように事実をねじ曲げる。
「息を吐くように嘘を吐く」と言われる所以だ。
このような反知性的な人物が国のトップであって良いはずがない。

万能・完璧・理想的な政党・政治家なんて期待していない。
○○党なら大丈夫!なんて思ってない。
でも、これだけ好き勝手横暴の限りを尽くした政権の存続を、
投票率50%程度の消極的な姿勢で認めたら、日本の民主主義なんか終わる。
あれだけ酷い目に遭った歴史の教訓を簡単に忘れるなんて馬鹿だとしか言いようがない。

安倍首相に対する嫌悪感のもうひとつの大きな要因が、
まるで立憲政治の本質を理解せず、ルールを権力と屁理屈でねじ曲げること。
これだけで民主主義国家の為政者である資格はないと思うのだが。
安倍政権のスゴイ所は、憲法破り・法律破りを日常化して、
その危険性について、もはや国民の感覚を麻痺させてしまったところだ。
あたかも原発事故後の放射能に対するそれのようだ。
しかし、日常性バイアスで片付けていい問題じゃない。
憲法を守れないばかりか、行政府の長にして改憲を主張するなど、
ヒトラーにも等しい越権ぶりだ。
憲法を守れない者に権力を与えてはいけない。

こういうこと言うとすぐ左呼ばわりされるんだけど、イデオロギーの問題じゃない。
憲法を守れというのは、それが権力者を縛る最高法規だから。
押しつけ憲法だろうが、時代や情勢に合っていなかろうが、憲法は憲法。
好き勝手に歪めていいものじゃない。
改正するなら堂々議論して、正当な手続を踏んでやるべきだ。
憲法破っておいて、後から正当化のために帳尻合わせるなんておかしい。

現行憲法がすべて正しいとは思わない。
改正すべき余地があるのは認める。
でも立憲・護憲というのは「不磨の大典」として改正しないという意味じゃない。
法の支配を守りましょうということ。
どんなに勇ましくても合理的に見えても、権力は法を歪めてはダメ。
絶対に国民のためにはならないから。
ルールを守らない権力者によるアタマの悪い選択肢=戦争は絶対に避けなければならない。
日本の本当の危機はカリアゲ君なんかじゃなくて、少子高齢化。
ここで舵取り間違えたら日本は間違いなく沈む。
目の前数センチの視野しかない、安倍じゃ無理だ。

別に主義主張や思想が違っても、それが筋の通ったものであるなら僕は尊重する。
それだけを理由に否定したりはしない。
自民党改憲草案も集団的自衛権も共謀罪も僕は反対だけど、
議論の上で民主的に国の方向が定まるのなら認めざるを得ない。

しかし、僕が安倍政権に対して嫌悪感を抱いているのは、主義主張が違うからではない。
憲法を守らない、事実を認めない、何もかも都合良くねじ曲げる、
権力者にあるまじきこの反知性的な態度が目に余るからだ。
別に特定の政党を支持しているわけじゃない。
それがどこの党であれ同じ状況なら批判する。
自民党が憲法をきちんと守り、国会の手続をきちんと守り、
求められる情報はすべて公開し、戦争を煽ったりせず、
客観的な検証に堪える経済政策を打ち出し、息を吐くように嘘をつかず、
まともな話ができる党首を据えてくれたなら、僕はいつだって自民党に投票する。

安倍政権の熱烈な支持者に多いのは、水素水の信者みたいなタイプではなかろうか。
検証は不要、単に「イイに決まってる!」「これしかない!」と思い込む。
反証データは「当たらない」。マスコミの偏向だ。
水なんかどうでもいいじゃん、という大多数が彼らの存在を許している状況もまたそっくりだ。

こういう政権を、そしてそういう支持者を多く生んだのは
ひとえに主権者教育の敗北と言うべきだろう。
左右の話じゃない。事実に基づいて検証可能な論説を慎重に述べるという
「科学的態度」や「知性主義」を身につけさせられなかったのだから。
暗澹たる思いだ。

もうひとつ、こういう僕の言説(安倍政権は反知性的だ)に対し、
やはりこの「反知性」の意味を取り違えて、
「おまえはそんなに知的なのか、全知全能なのか」と言ってくる脊髄反射の塊のような人もいる。
そんなこと一言も言ってまへんがな。

「知性的」というのは第三者の検証が可能ということで、
当然、そこでは先入観や偏見、個人的な願望や好悪といった恣意的な要素が排除される。
そうして多くの人の目を経て洗練され、真の科学的知性が完成する。
つまり知性というのは個々人の能力の問題ではなく、社会的な産物であるということだ。

だから、僕が言いたいのは安倍首相個人の知能がどうなどという話ではなく、
日本国を預かる宰相として、その姿勢はあまりにも反知性的だろう、ということに尽きる。
宰相たるもの、個人的な感情は封印し、できるだけ多くの人々の意見に耳を傾け、
科学的知性的に解決策を探るべきだろう。

それができないのだから、安倍に首相の資質はゼロだ。
彼に政権を与えたまま、平気で選挙に行かない日本国民の民度も知れたものだ。
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