<愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と書いてあるからである。むしろ、「もしあなたの敵が飢えるなら、彼に食わせ、かわくなら、彼に飲ませなさい。そうすることによって、あなたは彼の頭に燃えさかる炭火を積むことになるのである」。悪に負けてはいけない。かえって、善をもって悪に勝ちなさい。 --「ローマ人への手紙」12章19-21節
「目には目を、歯には歯を」という復讐刑は、古代バビロニア帝国で実施されていた。この伝統をユダヤ教も継承した。今でもイスラム世界では復讐法が機能している。
これに対して、キリスト教は復讐法を採用しない。なぜなら、復讐は人間ではなく、神が行う専管事項であるからだ。この世界の支配者は神であり、人間が犯した罪に対する復讐についても全面的に神に委ねられる。敵に対してキリスト教徒が取るべき態度は、憎しみではなく、愛に基づくのでなくてはならない。日本的に言うならば「罪を憎んで人を憎まず」ということになる。
ちなみにヨーロッパでは世俗化が進む過程で、復讐する主体が神から成文法(刑法)に転換した。欧米や、それに範をとった日本の近代法が復讐を禁止している背後には、「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」というイエスの言葉がある。聖書の言葉はこのような形で現代文明に埋め込まれているのである。現在、普遍的な価値観とみなされている国家主権、人権、法の支配などの発想の背後にはキリスト教があるのだ。>
□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「神の怒りに任せよ」を引用
【参考】
「【佐藤優】他人を裁くな」
「【佐藤優】木はその実でわかる」
「【佐藤優】人を汚すもの」
「【佐藤優】舌という火」
「【佐藤優】怒りを持ち越すな」
「【佐藤優】怒るに遅くあれ」
「【佐藤優】体の欲に従うな」
「【佐藤優】内面の悪」
「【佐藤優】欲望が罪を生む」
「【佐藤優】罪の誘惑」
「【佐藤優】豚に真珠を与えるな」
「【佐藤優】右目を捨てなさい」
「【佐藤優】復讐してはならない」
「【佐藤優】荒野の誘惑」
「【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い」
「【佐藤優】秤(はかり)のたとえ」
「【佐藤優】愚かな者になれ」
「【佐藤優】汚れたものとは」
「【佐藤優】劣った部分を尊ぶ」
「【佐藤優】知恵を誇るな」
「【佐藤優】偉くなりたい者は」
「【佐藤優】天国でいちばん偉い者」
「【佐藤優】どこまで罪を赦すか」
「【佐藤優】命を得るために」
「【佐藤優】預言者を敬わない人」
「【佐藤優】サマリヤの女」
「【佐藤優】新しいぶどう酒は」
「【佐藤優】返礼を求めるな」
「【佐藤優】金持ちへの警告」
「【佐藤優】ふたりの主人」
「【佐藤優】宝は天に蓄えよ」
「【佐藤優】罪のない者は誰か」
「【佐藤優】医者を必要とするのは」
「【佐藤優】施しをするときは」
「【佐藤優】呪ってはならない」
「【佐藤優】敵を愛しなさい」
「【佐藤優】目標をめざして」
「【佐藤優】試練を喜ぶ」
「【佐藤優】永遠の命のために」
「【佐藤優】立っていると思う者」
「【佐藤優】重荷を背負うのは」
「【佐藤優】苦難と希望」
「【佐藤優】弱さを誇ろう」
「【佐藤優】一粒の麦」
「【佐藤優】平和ではなく剣を」
「【佐藤優】恐れるな」
「【佐藤優】迫害される人」
「【佐藤優】平和をつくる人」
「【佐藤優】心の清い人」
「【佐藤優】あわれみ深い人」
「【佐藤優】正しさを望む人」
「【佐藤優】柔和な人」
「【佐藤優】悲しんでいる人」
「【佐藤優】心の貧しい人」
「【佐藤優】地の塩となれ」
「【佐藤優】狭い門を選べ」
「【佐藤優】求めれば与えられる」
「【佐藤優】明日を思い悩むな」
「【佐藤優】思い悩むな」
「【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~」
「目には目を、歯には歯を」という復讐刑は、古代バビロニア帝国で実施されていた。この伝統をユダヤ教も継承した。今でもイスラム世界では復讐法が機能している。
これに対して、キリスト教は復讐法を採用しない。なぜなら、復讐は人間ではなく、神が行う専管事項であるからだ。この世界の支配者は神であり、人間が犯した罪に対する復讐についても全面的に神に委ねられる。敵に対してキリスト教徒が取るべき態度は、憎しみではなく、愛に基づくのでなくてはならない。日本的に言うならば「罪を憎んで人を憎まず」ということになる。
ちなみにヨーロッパでは世俗化が進む過程で、復讐する主体が神から成文法(刑法)に転換した。欧米や、それに範をとった日本の近代法が復讐を禁止している背後には、「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」というイエスの言葉がある。聖書の言葉はこのような形で現代文明に埋め込まれているのである。現在、普遍的な価値観とみなされている国家主権、人権、法の支配などの発想の背後にはキリスト教があるのだ。>
□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「神の怒りに任せよ」を引用
【参考】
「【佐藤優】他人を裁くな」
「【佐藤優】木はその実でわかる」
「【佐藤優】人を汚すもの」
「【佐藤優】舌という火」
「【佐藤優】怒りを持ち越すな」
「【佐藤優】怒るに遅くあれ」
「【佐藤優】体の欲に従うな」
「【佐藤優】内面の悪」
「【佐藤優】欲望が罪を生む」
「【佐藤優】罪の誘惑」
「【佐藤優】豚に真珠を与えるな」
「【佐藤優】右目を捨てなさい」
「【佐藤優】復讐してはならない」
「【佐藤優】荒野の誘惑」
「【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い」
「【佐藤優】秤(はかり)のたとえ」
「【佐藤優】愚かな者になれ」
「【佐藤優】汚れたものとは」
「【佐藤優】劣った部分を尊ぶ」
「【佐藤優】知恵を誇るな」
「【佐藤優】偉くなりたい者は」
「【佐藤優】天国でいちばん偉い者」
「【佐藤優】どこまで罪を赦すか」
「【佐藤優】命を得るために」
「【佐藤優】預言者を敬わない人」
「【佐藤優】サマリヤの女」
「【佐藤優】新しいぶどう酒は」
「【佐藤優】返礼を求めるな」
「【佐藤優】金持ちへの警告」
「【佐藤優】ふたりの主人」
「【佐藤優】宝は天に蓄えよ」
「【佐藤優】罪のない者は誰か」
「【佐藤優】医者を必要とするのは」
「【佐藤優】施しをするときは」
「【佐藤優】呪ってはならない」
「【佐藤優】敵を愛しなさい」
「【佐藤優】目標をめざして」
「【佐藤優】試練を喜ぶ」
「【佐藤優】永遠の命のために」
「【佐藤優】立っていると思う者」
「【佐藤優】重荷を背負うのは」
「【佐藤優】苦難と希望」
「【佐藤優】弱さを誇ろう」
「【佐藤優】一粒の麦」
「【佐藤優】平和ではなく剣を」
「【佐藤優】恐れるな」
「【佐藤優】迫害される人」
「【佐藤優】平和をつくる人」
「【佐藤優】心の清い人」
「【佐藤優】あわれみ深い人」
「【佐藤優】正しさを望む人」
「【佐藤優】柔和な人」
「【佐藤優】悲しんでいる人」
「【佐藤優】心の貧しい人」
「【佐藤優】地の塩となれ」
「【佐藤優】狭い門を選べ」
「【佐藤優】求めれば与えられる」
「【佐藤優】明日を思い悩むな」
「【佐藤優】思い悩むな」
「【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~」