語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】命を得るために

2018年10月14日 | ●佐藤優
 <自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのために自分の命を失う者は、それを見いだすであろう。たとい人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、なんの得になろうか。また、人はどんな代価をはらって、その命を買いもどすことができようか。 --「マタイによる福音書」16章25-26節

 イエス・キリストは世の中の常識に反した発言をする。そして、行動も常識外れだ。人間は自分の命に固執するのが普通だが、この発言をする前にイエスは弟子たちに「自分は近く受難し死ぬ」ということを伝える。弟子たちは、神の子であり救済主であるイエスが受難するはずはないと当惑する。それに対してイエスは、自分に罪がないにもかかわらず、罪があるすべての人間を救うために死ぬのだという認識を示す。
 人間は、自己犠牲的な行動をとる人の感化を受けやすい。自分自身と同じように、他者との関係で自己犠牲的な行動を取る人が、「永遠の命」を得るとイエスは考えていた。ただし、弟子たちはこの時点ではイエスの言説の意味を理解することができなかった。それだから、イエスが官憲に拘束されたときに弟子たちは全員、逃げ出してしまったのである。しかし、死後に復活したイエスと再会した弟子たちは、殉教も恐れない強い人間になる。人間は、言説によってではなく、体験によって感化されるのだ。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「命を得るために」を引用

 【参考】
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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