◆確認しておきたい/中学数学に欠損があるか
佐藤 パーセントはともかく、難関の私立中高一貫校出身者でも、中学数学の段階で欠損があるまま来ている学生が少なくないですね。
芳沢 中高一貫校で初めから私大文系型と決めると、数学を全くやっていないのです。
そういった人たちも見ていて私が気になるのは、線を引く、円を書くといった一つ一つのプロセスをまず習っていない。直線のグラフすら書けなかったりします。
佐藤 それは深刻ですね。
芳沢 グラフの書き方を忘れちゃったっていうんです。学校でどう習ったのか聞くと、例えばy=ax+bという関数に数字を具体的に入れて、プロットして書いていくという原点を忘れている。
佐藤 y=ax+bというのをグラフにするとどうなるか、全然イメージが湧かない。
経済学の代表的な教科書でも、グラフだけで数式がなかったりします。数式とグラフの対応関係が分かっていないというのは危ないですよね。
芳沢 関数のグラフというのは、3次関数だろうが4次関数だろうが、具体的に数字を取っていけばある程度書けるものです。まず、ちゃんと点を取っていけば、グラフというものによって視覚的に、式を理解できる。
例えば、自分は算数の知識がさほどなくても、素朴に自分の持っているもので推理をするように頑張ろう。そんな考え方ができるよう意識を変えていきたい。
佐藤 数学が苦手なビジネスパーソンに対する私のアドバイスは、簡単です。要するに、数学に関してはどこかに欠損、分かっていないことがあるはずだと。
その欠損がどこかを知るために、取りあえず数学検定(実用数学技能検定)3級を受けてみたらいい。対象レベルは中学3年程度です。中学までに欠損があるかどうかをまず知っておかなくてはいけない。
もし欠損があれば、場合によっては小学校レベルに戻って勉強すべきかもしれない。
ところが、数学にかなり不安を持っていても、ほとんどの人は受けないんですよ。落ちるのが怖い。もし落ちるとプライドがズタズタになって立ち直れないから。
これは英語でも一緒なんです。英語に自信がないという人は、取りあえず英検(実用英語技能検定)3級を受けてみるといい。
別に人に見られるわけでもないのに、このバリアを突破するのは結構大変なんです。
芳沢 思い出すのはちょうど今から36~37年前、米国のオハイオ州立大学に博士特別研究員として在籍していたころ、「住んでいたアパートの住人の方に三角関数を教える」という日課があった。
私もうまく教えられたかどうか分からないのですが、みんな無邪気に、「ウォー、ワカッタ」とか楽しみながら、理解を積み上げていく様子が印象に残っています。
「いい年をして……」なんてことは全くない。自分のペースで一歩一歩、学んでいけばいいのです。
□佐藤優「特集:文系でも怖くないビジネス数学」(「週刊ダイヤモンド」2019年2月9日号)の「【Part 1】 数学はビジネスパーソンの必須教養である」の「【対談】芳沢光雄(桜美林大学教授)×佐藤優(作家・元外務省主任分析官)「生き残るビジネスパーソンの必須スキル 今こそ「数学」の学び直しをせよ 」を引用
【参考】
「【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~」
「【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)」
佐藤 パーセントはともかく、難関の私立中高一貫校出身者でも、中学数学の段階で欠損があるまま来ている学生が少なくないですね。
芳沢 中高一貫校で初めから私大文系型と決めると、数学を全くやっていないのです。
そういった人たちも見ていて私が気になるのは、線を引く、円を書くといった一つ一つのプロセスをまず習っていない。直線のグラフすら書けなかったりします。
佐藤 それは深刻ですね。
芳沢 グラフの書き方を忘れちゃったっていうんです。学校でどう習ったのか聞くと、例えばy=ax+bという関数に数字を具体的に入れて、プロットして書いていくという原点を忘れている。
佐藤 y=ax+bというのをグラフにするとどうなるか、全然イメージが湧かない。
経済学の代表的な教科書でも、グラフだけで数式がなかったりします。数式とグラフの対応関係が分かっていないというのは危ないですよね。
芳沢 関数のグラフというのは、3次関数だろうが4次関数だろうが、具体的に数字を取っていけばある程度書けるものです。まず、ちゃんと点を取っていけば、グラフというものによって視覚的に、式を理解できる。
例えば、自分は算数の知識がさほどなくても、素朴に自分の持っているもので推理をするように頑張ろう。そんな考え方ができるよう意識を変えていきたい。
佐藤 数学が苦手なビジネスパーソンに対する私のアドバイスは、簡単です。要するに、数学に関してはどこかに欠損、分かっていないことがあるはずだと。
その欠損がどこかを知るために、取りあえず数学検定(実用数学技能検定)3級を受けてみたらいい。対象レベルは中学3年程度です。中学までに欠損があるかどうかをまず知っておかなくてはいけない。
もし欠損があれば、場合によっては小学校レベルに戻って勉強すべきかもしれない。
ところが、数学にかなり不安を持っていても、ほとんどの人は受けないんですよ。落ちるのが怖い。もし落ちるとプライドがズタズタになって立ち直れないから。
これは英語でも一緒なんです。英語に自信がないという人は、取りあえず英検(実用英語技能検定)3級を受けてみるといい。
別に人に見られるわけでもないのに、このバリアを突破するのは結構大変なんです。
芳沢 思い出すのはちょうど今から36~37年前、米国のオハイオ州立大学に博士特別研究員として在籍していたころ、「住んでいたアパートの住人の方に三角関数を教える」という日課があった。
私もうまく教えられたかどうか分からないのですが、みんな無邪気に、「ウォー、ワカッタ」とか楽しみながら、理解を積み上げていく様子が印象に残っています。
「いい年をして……」なんてことは全くない。自分のペースで一歩一歩、学んでいけばいいのです。
□佐藤優「特集:文系でも怖くないビジネス数学」(「週刊ダイヤモンド」2019年2月9日号)の「【Part 1】 数学はビジネスパーソンの必須教養である」の「【対談】芳沢光雄(桜美林大学教授)×佐藤優(作家・元外務省主任分析官)「生き残るビジネスパーソンの必須スキル 今こそ「数学」の学び直しをせよ 」を引用
【参考】
「【佐藤優】パーセントが扱えない大学生 ~数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (2)~」
「【佐藤優】×芳沢光雄:数学、生き残るビジネスパーソンの必須スキル (1)」