語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】偉くなりたい者は

2018年10月18日 | ●佐藤優
 <あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、僕(しもべ)とならねばならない。それは、人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためであるのと、ちょうど同じである。 --「マタイによる福音書」20章26-28節

 偉い者が支配するというのは、世俗の秩序感覚だ。これに対して、イエスは、キリスト教徒の価値観は、世俗の価値観とまったく異なることを強調する。図式化して示そう。まず、世俗の秩序感覚はこうなっている。
 支配者-民衆を支配する
 偉い人たち-権力をふるう
 人間は性悪な存在であるから、キリスト教徒の共同体でも、無自覚のままでいると世俗的な「偉い」「偉くない」という発想が浸透してくる。そうなると、キリスト教徒相互の関係が官僚的になり、教会が愛の共同体ではなくなってしまう。従って、イエスは以下の逆説を説く。
 かしらになりたい人-僕となれ
 偉くなりたい人-仕える人になれ
 こうすることによって、人間は、世俗的な秩序とは別の原理で構成された秩序に従い、来たるべき「神の国」のイメージを想い浮かべることができる。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「偉くなりたい者は」を引用

 【参考】
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~



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