語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】汚れたものとは

2018年10月22日 | ●佐藤優
 <それ自体、汚れているものは一つもない。ただ、それが汚れていると考える人にだけ、汚れているのである。 --「ローマ人への手紙」14章14節

 パウロの時代、キリスト教徒は、ユダヤ教の伝統を重視して、食物について「清いもの」と「汚れたもの」を厳格に区別する人々と、そういう区別をしない人々に分かれた。当時の常識では、ユダヤ教の律法を遵守し、「汚れたもの」を遠ざけるキリスト教徒のほうが信仰が強い人々と見なされていた。
 パウロはこのような価値観を脱構築する。このときパウロは、「清いもの」と「汚れたもの」の区別を無くしてしまうのではなく、「汚れたもの」に対する概念を変化させることで問題の解決を図った。すなわち、もの自体が汚れているのではなく、それと人間がどのような関係を持つかによって、汚れているかそうでないかが決まるとした。
 この論理は、「清いもの」に対しても適用される。一般に「清い」とされているものに、人間が汚れたアプローチをするならば、それは「汚れたもの」になるのだ。パウロの解釈によって、「清いもの」「汚れたもの」の概念が動的で、相対的なものになった。その結果、キリスト教徒は何でも食べることができるようになったのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「汚れたものとは」を引用

 【参考】
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【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
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【佐藤優】罪のない者は誰か
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【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
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【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
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【佐藤優】心の清い人
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【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~




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