語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】右目を捨てなさい

2018年10月31日 | ●佐藤優
 <もしあなたの右の目が罪を犯させるなら、それを抜き出して捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に投げ入れられない方が、あなたにとって益である。もしあなたの右の手が罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい。五体の一部を失っても、全身が地獄に落ち込まない方が、あなたにとって益である。 --「マタイによる福音書」5章29-30節

 小学校低学年のとき、日曜学校で牧師からこの話を聞いて戦慄した。「目を抜き出して捨てる」とか「手を切って捨てる」などと説くイエスという人がとても恐ろしく思えた。しかし、「なぜ、イエス様はこんな恐ろしいことを言うんですか」と牧師に尋ねる勇気はなかった。
 さらに神学部で学ぶようになってから、このイエスの言葉の意味が一層わからなくなった。なぜなら右目を抜き出しても、左目がこの人をつまずかせる可能性が十分に残っているからだ。同様に、右手を切って捨ててしまっても、左手がこの人をつまずかせる可能性も残っているからだ。
 聖書の言葉には、このようにいくら考えてもその意味がわからないものがある。そういうときは、簡単にわかったふりをしないことが重要だ。わからないまま、考え続けるという姿勢が求められるのである。現時点で、私はこの言葉を、信仰には、片目を抜き出す、片手を切って捨てるくらいの覚悟が必要だという心構えを示したものと受け止めている。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「悪と向きあう言葉」の「右目を捨てなさい」を引用

 【参考】
【佐藤優】復讐してはならない
【佐藤優】荒野の誘惑
【佐藤優】受けるよりは与える方が幸い
【佐藤優】秤(はかり)のたとえ
【佐藤優】愚かな者になれ
【佐藤優】汚れたものとは
【佐藤優】劣った部分を尊ぶ
【佐藤優】知恵を誇るな
【佐藤優】偉くなりたい者は
【佐藤優】天国でいちばん偉い者
【佐藤優】どこまで罪を赦すか
【佐藤優】命を得るために
【佐藤優】預言者を敬わない人
【佐藤優】サマリヤの女
【佐藤優】新しいぶどう酒は
【佐藤優】返礼を求めるな
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~



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