語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】地の塩となれ

2018年08月16日 | ●佐藤優
 <あなたがたは、地の塩である。もし塩のききめがなくなったら、何によってその味が取りもどされようか。もはや、なんの役にも立たず、ただ外に捨てられて、人々にふみつけられるだけである。 --「マタイによる福音書」5章13節

 キリスト教は実践的な宗教だ。心の中で信仰を持っているだけではキリスト教徒とは言えない。それをただちに行動に移すことが求められる。信仰即行為なのである。
 もっともキリスト教徒は、世の中の他の人々とは異なる行動原理、すなわちイエス・キリストに徹底的に従うという基準で動く。その結果、社会と摩擦を起こす場合がある。キリスト教徒の中には、このような摩擦を恐れて身内だけで固まってしまう傾向がある。しかし、それは間違いだとイエスは強調する。
 塩が役に立つのは、周囲の食べ物に味をつけるからで、塩が固まっていては意味がない。塩は異質な存在であるから意味があるように、自分たちも世の中の基準から少しずれ、変わっているところに意味がある。塩は、自らのために存在するのではなく、他者に働きかけることで初めて意味を持つ。このようにキリスト教徒も、信者同士で固まっているのではなく、広く外の世界に働きかけることが重要であり、「引きこもり」になるなと戒(いまし)めているのだ。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「苦難に負けない言葉」の「地の塩となれ」を引用

 【参考】
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~

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