語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】敵を愛しなさい

2018年09月27日 | ●佐藤優
 <「隣り人を愛し、敵を憎め」と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ。 --「マタイによる福音書」5章43-44節

 この言葉はよく誤解されている。イエスは、敵と味方を一緒にして、誰でも愛せというような博愛主義を説いているのではない。「敵を愛する」前提として、味方と敵を峻別しなくてはならない。その上で敵に対しては、有り余る憎しみがあるので、愛するくらいの感覚を持たないと判断を誤る、と説くのだ。もっとも、敵を愛しているうちに、敵とか味方とかいった区分が徐々に解消していく。迫害をする者のために祈っているうちに、迫害する者も変化していくという人間観がイエスにはある。
 イエスの理解では、愛は何らかの目的のために行使されるものではない。愛はただその行為によって充足的に成り立っているのである。従って、最初の動機はどのようなものであっても構わないが、愛を実践しているうちに人間は変容していく。繰り返すが、聖書に記されているから愛を実践するのではない。イエスは、まことの神の子であるから、理由なく、ひたすら愛を実践するのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「敵を愛しなさい」を引用

 【参考】
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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