語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】返礼を求めるな

2018年10月08日 | ●佐藤優
 <宴会を催す場合には、貧しい人、体の不自由な人、足の悪い人、目の見えない人などを招くがよい。そうすれば、彼らは返礼ができないから、あなたはさいわいになるであろう。正しい人々の復活の際には、あなたは報いられるであろう。 --「ルカによる福音書」14章13-14節

 どの社会においても、宴会に招かれたら、返礼するというのが常識だ。客観的に見て、返礼が不可能な貧しい人を招くことは、宴会主催者の示す愛が、互恵の精神を超えたものであることを示す。
 イエスの時代にあったクムラン教団は、身体障害者を「神の集会」から排除すると規定していた。それと対極的な姿勢をイエスは示したのである。イエスは、われわれ人間のために命を捨てたが、その返礼を何も求めていない。キリスト教徒は、イエスにならって生きるのだ。
 それから、イエスは、キリスト教徒が宴会に身内の人とか近所の金持ちだけを招くことを嫌っている。こういう宴会を行うと、愛の実践が地縁と血縁に限定されるようになり、イエスの説いた教えがユダヤ人共同体の限界を超えることができなくなってしまう危険があるからだ。
 人は例外なく罪を負っている。それだから、イエスが説く愛は相互主義を超えた神の愛で、それは本質において罪人への愛なのである。このようなイエスの教えに従う人が、終わりの日に救われるのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「常識を逆転する言葉」の「返礼を求めるな」を引用

 【参考】
【佐藤優】金持ちへの警告
【佐藤優】ふたりの主人
【佐藤優】宝は天に蓄えよ
【佐藤優】罪のない者は誰か
【佐藤優】医者を必要とするのは
【佐藤優】施しをするときは
【佐藤優】呪ってはならない
【佐藤優】敵を愛しなさい
【佐藤優】目標をめざして
【佐藤優】試練を喜ぶ
【佐藤優】永遠の命のために
【佐藤優】立っていると思う者
【佐藤優】重荷を背負うのは
【佐藤優】苦難と希望
【佐藤優】弱さを誇ろう
【佐藤優】一粒の麦
【佐藤優】平和ではなく剣を
【佐藤優】恐れるな
【佐藤優】迫害される人
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~


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