真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「叔母と甥 溺れた恥縁」(2006/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/企画:稲山悌二/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/編集:酒井正次/助監督:茂木孝幸/音楽:レインボーサウンド/監督助手:北村隆/撮影助手:池宮直弘/音響効果:梅沢身知子/製作進行:阿佐ヶ谷兄弟舎/出演:青山怜加・しのざきさとみ・風間今日子・津田篤・丘尚輝・本多菊次朗)。
 大学生の尾崎直也(津田)が三日前に胃潰瘍で入院した母親の見舞ひから帰宅すると、玄関には見慣れぬ女物の靴が。居間では父親の和也(本多)と、母親の妹、即ち直也からは叔母に当たる島谷由美子(青山)とが歓談してゐた、男所帯を見かねて手伝ひに来たといふ。実は秘かに、由美子は直也にとつて“特別な人”であつた。未だ就学にも至らぬ十五年前、叔母宅に泊まつた直也は、由美子と夫・紀彦(丘)の夫婦生活を覗き見る。以来直也は由美子に魅せられ続け、精通後はオナペット―劇中独白ママ―にしてゐたのだ。とかくこの手のピンク映画には、ペタジーニばりの頑丈な特殊性癖の持ち主が実に平然と登場する。紀彦は出張中、職場に自宅よりも近いといふことで、由美子は暫く尾崎家に留まることに。妙に嬉しげな和也も兎も角、直也が心中秘かに驚喜したのも束の間、母・千賀子(しのざき)が強制退院。どうも何事か因縁があるらしき由美子を放逐、直也を落胆させる。
 三番手が何時まで経つても出て来ないことにハラハラさせられる風間今日子は、共稼ぎをいいことに、紀彦が自宅に連れ込む不倫相手・沢井みどり。恋人を寝取つた姉の息子を誑し込む、ややこしい修羅場を迎撃する告白。徒に深刻な青山怜加の傍ら、津田篤としのざきさとみがボサッと座つてゐる弛緩したカットが別の意味で堪らない。
 リアルタイムでは取り零してゐた、新田栄2006年全七作中第三作。寝ても形状を記憶するプリップリのオッパイは絶妙にシリコソ臭く、綺麗な森羅万象といつた程度で決して美人ではないものの、風情は振り切れてエロい主演女優を擁し、熟女に若い男が溺れる即物的な煽情性の面に於いては何ら不足はない、実に安定した裸映画。反面、下手に纏まつた展開が派手に仕出かすこともないゆゑ、何処からツッコんだものか途方に暮れる楽しさには欠くともいへる。無闇な由美子の不幸自慢も、オーラス出し抜けに腹を括る地獄の業火にその身を焼かれる覚悟も、重さなり凄味には清々しく無縁の新田栄にはらしくない。良きにつけ悪しきにつけ軽く薄いのが新田栄の持ち味とするならば、この人の真骨頂は、尼寺映画の類の卓袱台木端微塵系を除けば、矢張り適度な微温湯加減が時には心地良い、温泉映画であるのではないかと、力説するほどではなく何となく感ずる次第。


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