布沢川の盆


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 土(ど)バス停から布沢川に沿って歩く。土を「どんむら」と呼ぶように、布沢は「のんざわ」と地元の人は呼ぶそうなので、この布沢川は「のんざわがわ」と呼ばれているのだろう。河原をよく見たら積み石の卒塔婆があり、樒や花が供えられ、線香や松明が焚かれた跡がある。土村に知り合いがいる清水の友だちに確かめてもらったら、この集落では8月16日に河原で送り火を焚くという。

 岩田重則「『お墓』の誕生——死者祭祀の民俗誌」岩波新書を読んでいたら、静岡県東部から伊豆にかけての地域では盆の13日夕方だけでなく14日も15日も迎え火を焚く事例が採集されており、もしかしたらと確かめてもらったら、この集落でも13、14,15と家の前で迎え火を焚き、16日の朝、河原で送り火を焚くのだという。卒塔婆づくりを任された子どもたちは、上手に多くの石を積めるよう競い合うそうで、川辺で死者の霊を弔う川施餓鬼の習俗も一緒になったのかもしれない。

 清水区渋川の友だちにしつこくメールを書いて、本当に毎日迎え火を焚くのかと聞いたら「この辺と同じ」で毎日焚くのだという。なんだ、郷里清水の町中でも毎日迎え火を焚くのかと驚いたので、入江の友人のお父さんに聞いたらやはり毎日焚くそうで、国吉田出身のお母さんも迎え火は毎日焚くという。
 ネット検索すると相談コーナーで、迎え火を焚くのは盆入りの夕方だけ、毎日焚くなんて聞いたことがないという書き込みが多く、全国的には珍しいけれど、静岡県内では広い範囲で、毎日迎え火を焚く風習があるのだろう。

コメント ( 2 ) | Trackback ( )
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コメント
 
 
 
迎え火 (あおい君)
2012-08-30 14:18:20
子どものころ、母がお盆の間(新暦)毎日迎え火をたいていたのをつい“きのう”のことのように思い出しました。
最近では住宅事情もあり毎日はたかなくなってきているかもしれません。
 
 
 
迎え火 ()
2012-08-30 17:19:10
ああ駿府もそうなんですね。
今度、誰かをつかまえて静岡県西部の事情も聞いてみたい。
入江のご老人によると、やはり火事の心配もあって最近は毎日焚く家も減ってきているそうです。
 
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