電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【夏のシクラメン】
2020年7月7日
【夏のシクラメン】
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静岡出身の仏教学者三枝充悳(さいぐさ・みつよし 1923ー2010)が書いた本を読んでいたら、
「室内のシクラメンまでも、異常を感じたらしい。ピンクの花の方は、もう終わったが、白い花の鉢は、何を考えたのか、最後の花の萎れたころに、急に十本あまりの花芽が出て、もう十日以上も、白い花を誇っている。これまで何十年も、冬のシクラメンを 愛好してきたが、こんな現象は、異常気象の今年に初めて出会った。」
と 1989 年 4 月 24 日の随想にあった。調べてみるとこの年は世界的な暖冬に次ぐ暖春で、桜の開花が平年よりずいぶん早かったらしい。三枝家では沈丁花、木蓮、ベゴニア、ハナニラ、ヒヤシンスも異様な開花をしたという。
わが家ではベランダに置いて毎朝水やりしているシクラメンが次々に花芽を上げて今も咲き続けている。例年なら最後の花が咲き終えたあとは、おろす地面もなく萎れるに任せて枯れさせてしまうのだけれど、葉っぱだけ眺めていても観葉植物のようで可愛いと家人が言うので、ベランダに出して桜と南天の水やりついでに世話をしていたらまた咲き出したのだ。
珍しいことなのか、そういうものなのかわからないけれど、葉っぱの間から次々に花芽が上がる。小さな花芽にも日が当たるよう葉っぱを間引いてやろうと言うので、好きにしろと可愛いと言った当人に任せてみた。心配なほどスカスカになったけれど、あとはまた澹澹と朝の水やりをする。
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