【続・出る声、書く声】

【続・出る声、書く声】

昨日の、読んでいる本に向かって、文句を言ったり、反論を投げかけたり、質問をしたりする話の続き。

「『かきいれどき』は帳簿の記入に忙しい時期のことで、漢字で書けば『書き入れ時』なんだけど、そうか、言葉を場へ発することもまた『書き入れ』って言うんだね」
と、読んでいる本に向かって独り言を言うように思う。

 お父さんが社から帰って来て、一同晩餐(ばんさん)の食卓を囲む時、その日起った特別の事件が話題に上(のぼ)る。
「今日は里(さと)の母が見えて、私、上等の浴衣地(ゆかたじ)を戴きましたよ」
 なぞというのはお母さんの書き入れ事件である。それに対してお父さんは、
「ふうむ、それは宜(よ)かったね。彼方(あっち)でも皆丈夫(みんなじょうぶ)だろうね?」
 と応じる。(佐々木邦『親鳥小鳥』より)

「この『なぞ』の使い方にも馴染みがないんだけど、この『なぞ』は話し言葉的に書くと『なんぞ』なんだよね。著者が『皆』を『みんな』と読ませたくってルビをふっているように、僕は『なぞ』に『など』でもなく『なんぞ』ってルビをふりたくなっちゃうんだ」
なんぞと、また読んでいる本に対して独り言を言うように思うのである。

2024 年 1 月 25 日 北区西ヶ原

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20 音オルガニートで

20 音オルガニートでセレナード「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より 
Eine kleine Nachtmusik K. 525
作曲/W.A.モーツァルト

20 音オルガニートで菩提樹 Der Lindenbaum
歌曲集「冬の旅」より第5曲
作曲/F.P.シューベルト

20 音オルガニートでロンドン橋 落ちた London Bridge Is Falling Down
イングランドの古いマザーグース・ナーサリーライム

を公開。

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2023年11月号(通巻13号)まで公開中

 

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