ちぐはぐ


Z7 + NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

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電車に乗っていると、真ん前に座った男性が目に入った。
グレーのスーツを着た年配の男性だ。
頭は白髪が多く少し乱れている。
着ているグレーの背広も何だかくたびれている。
バリバリの一流ビジネスマン・・とは程遠い、冴えない容姿のおじさんである。

背広の袖口から腕時計が見えた。
あれっ・・・赤青のベゼルのロレックスらしき時計。
本物であるかどうかは分からないが、秒針を見るとスイープ運針で動いているようだ。
珍しいので目が釘付けになった。

しかしくたびれたスーツにこの時計ではバランスが悪すぎる。
かなりちぐはぐな印象を受ける。
恐らくコピー品だろう・・と思いながら、目を足元に向けると・・・

履いているのはトリッカーズのカントリーブーツである。
それもあろう事か、黒に茶色いソールのツートン仕様だ。
背広姿にツートンのカントリーコレクション・・・それは無いだろう・・・
まるで台風の日に長靴を履いて出勤している時のような姿だ。

じっくり見てみたが、どうもトリッカーズは本物っぽい。
もしかするとロレックスも本物かもしれない。
しかしこのちぐはぐさは、一体どうしたことか・・・

「これロレックスのGMTマスター。いくらするか知ってる?」
「この靴は英国のトリッカーズっていうの。本来は貴族が狩りの時に履くんだ」
なんて女の子に自慢するおじさんの姿が目に浮かんだ。
勝手な想像に過ぎないが、いかにもそんな事をしそうに見える。

ロレックス、トリッカーズと個々のアイテムに拘る姿勢に、むしろゾッとした。
それを使いこなすバランス感覚が欠如していると、こういうことになるのか・・・
自分もそうなってはいけないと、大変反省したのである。
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