怪我 3


D810 + AF-S NIKKOR 85mm f/1.4G

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処置室に先生が入ってきた。
助手の男性も一緒だ。
レントゲンを見て、骨まではいっていないと言われた。
これからきれいな水で傷口を洗浄するという。
細かく説明してくれるで、こちらとしては安心できる。

左手の下に金属の容器を入れて、水の入ったボトルをいくつか持ってきた。
イソジンか何か、濃い茶色の液体を染みこませた綿で、傷の周りを消毒した。
ボトルの水を傷口にジャージャーと流し洗浄した。
何本か洗い流し、最後は抗生物質入りの水を傷にかけた。

今日は血が出るだろうからと、ガーゼを2重にして傷に当て、油紙と包帯を巻いた。
その後、左腕の筋肉に感染症予防の注射を打った。
これから数日間、毎日通うようにと言われた。
お酒はダメで、お風呂は左手を濡らさなければいいという。
これで最初の治療は一応完了した。

ところが、出血が止まらない。
止血がうまくいかなかったようだ。
会社に帰る頃には、グルグルに巻いた太い包帯の表面に、赤い染みが出始めた。
車がAT車でよかったが、それでもシフトレバーに血がついた。

それ以降も、血が止まってくれる様子が無く非常に困った。
包帯の隙間から血が流れ出てきて、指の隙間で乾いてこびりつく。
気がつくと手や周りのものが赤く汚れている。

仕方なく再度車に乗り、薬局に走った。
包帯、ガーゼ、油紙などを大量に買った。
レジでお金を払う際も、左手から血が零れ落ちそうになり、それを悟られないようにと動きがぎこちなくなり、お店の人に不審がられた。
戦時中なら当たり前であったろうに、今は包帯に血の染みがあるだけで気持ち悪がられる。

会社に帰って、血まみれになった包帯を解いてみた。
二重にしたガーゼはたっぷりと吸った血液で膨らんでおり、上から押すと流れ出てくるような状態であった。
傷に近いところは、血が半分凝固し、ぬるりとした塊になっていた。
血糊とはよく言ったものである。
いくら包帯を巻いても、その下がこの有様では、どんどん血が出てくるわけだ。

ガーゼが傷にくっついていて、はがすには痛みが伴うので、上のほうだけ新しいものに換えた。
また油紙と包帯でぐるぐる巻きにしたが、その頃から出血が落ち着き始めた。
どうなることかと思ったが、それ以降は染み出す血に悩まされることはなかった。

続く。
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