完成


D810 + AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

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ソールを交換してもらったアレン・エドモンズのヘリテイジが完成した。
ゴルフ用のシューズをベースに、普通の靴に改造したのだ。
改造前の状態はこちら → 2015年6月13日の記事

ツートンのスペクテイターシューズを探していたが、こういう派手めなデザインの靴は、なぜかゴルフシューズに多く見られる。
華やかな格好をして楽しむスポーツなのだろう。
ヘリテイジのデザインは、まさにスペクテイターシューズそのものだったので、通常の靴に転用できないか、実験してみたのだ。



ソールを交換しただけなのに、何故か印象がかなり変わった。
底回りの仕上げの品質が上がったため、全体が引き締まったのだ。
垂直に立ち上がったコバが、靴のグレード感を押し上げている。

靴の外観は、同社のマックアリスターとよく似ている。
ところが価格はゴルフシューズであるヘリテイジのほうが安い。
マックアリスターが385ドルなのに対し、ヘリテイジは295ドル、価格差は90ドルもある。
(今回はセールで100ドル台で購入した)
その理由が知りたかったので、ばらす時に作りの違いを見ておいて欲しいと、お店に頼んでおいた。



レザーソールは、少し気張ってイタリアのロッカフレックスにしてもらった。
ビスポークにも使用される高級なソールである。
密度が高いのにしなやか、という素晴らしい特徴を持つ。
見るからにいい革である。
仕上がりも美しく、ソールにアッパーの革が負けている感じである。



ヒールはキャッツポウのツイングリップにしてもらった。
アメリカ靴にはお馴染みのビルライト社製ヒールである。
グラフィック・デザイナー、ルシアン・ベルンハルトのデザインした猫は、今でもキャラクターとして人気が高い。
60年代頃に製造された古い在庫が、けっこう日本に入っているが、最近は復刻品が販売されているという話も聞く。
(今回使用したのは当時の古い在庫品)
使用すれば当然削れていくので、可哀相でちょっと履けない。



お店がソールをきれいに分解してくれた。
スパイク固定用のナットは、単に埋め込んだものではなく、金属製のプレートに取り付けてから、縫いこまれている。
ねじるように力のかかる部分だから、考えてみれば当然のことである。
それにしてもこれだけ凝った構造で、部品代も余計にかかっていながら、なぜゴルフシューズのほうが安いのだろう?

お店でもその点を考えながら交換作業をしてくれたが、結局作りそのものは、通常の革靴と大きく違わなかったという。
ただパーツの材質には、一部ケミカルなものも使用しており、高級な革靴と比べるとグレードは落としてあるようだ。
もっともエドモンズの通常のラインが、どれほどのグレードの素材を使っているか、具体的に比較したわけではない。
ゴルフシューズは、インナーなど全般に柔らかい素材が使われており、革靴とは違う思想で作られているように見えるのは確かだ。



上はオリジナルのヘリテイジ・ゴルフシューズ。
下はソールを交換した後の同シューズである。
スパイクを取り外したことで、ソールが地面にダイレクトに接するようになったのがわかる。
ヘリテイジはマックアリスターと同じ65ラストを使用しており、すらりとスマートで格好いい。

ブラウンからナチュラルに変わった出し縫い糸の色が、非常にいいアクセントになっている。
マチ部分しか見えないにもかかわらず、靴底周辺の品質が上がったのがわかる。
ソールの交換は、靴全体に少なからず影響を与えるようだ。



実はアレン・エドモンズでも、ゴルフシューズから通常の靴へのソールの交換を受け付けてくれる。
同じ事を考える人も多いようで、エドモンズのサイトを見ると、ゴルフシューズを普通のソールに改造してもらえないかという要望が多く寄せられている。
エドモンズのゴルフシューズはスタイリッシュなものが多く、デザインに魅力を感じる人が多いのだろう。

ゴルフシューズとして見た場合、この手の古典的な靴に、それほど多くの需要があるとは思えない。
想像ではあるが、あまり売れるもので無いなら、在庫処分の意味であえて値上げをせず放置している、という可能性もある。
いずれにしてもこの価格はお買い得であるし、普段使用する革靴に改造するという今回の企画は、なかなか面白い遊び方ではなかろうか。
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