結婚式の写真


D800E + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

大きな画像

親戚の結婚式で写真を頼まれることがあるが、結婚式場には専属のカメラマンがいる。
そちらは職業なので、それに見合うだけの働きをしなければならない。
こちらの立場は微妙で、その邪魔をしないよう気を遣いながら動き、一番いいポジションは専属カメラマンのために意識して空けておく。
また、いかにも結婚式らしい写真はそちらが撮ってくれるずなので、こちらはそれとは違うスナップ的な写真を撮ることに徹する。

特にチャペルの中においては、こちらは参列者のひとりでもあるし、厳粛な式の最中に勝手に歩き回るわけにもいかない。
今回も、先に式場に電話して確かめたところ、式の間は自分の席から離れてはだめで、ストロボも焚かないで欲しいということであった。
まあ当然であろう。

チャペル内での自由な撮影は、専属カメラマンにしか許されていない。
こちらは行動が大幅に制限されており、撮る事のできる写真には限界がある。
そのため、結婚式で写真を頼まれた時には、スナップ程度は僕が引き受けるから、同時に式場のカメラマンにも頼んで欲しいとお願いしている。
そうしないと肝心の場面で撮り損なうことになるのだ。

チャペル内でこちらが出来ることと言ったら、なるべく高感度に強いカメラを用意することと、撮影に適した通路側の椅子を確保することくらいだ。
チャペル内での動きはすべて一発勝負で、しかも入場の際は被写体が前後に動くので、それを予測した態勢で臨まなければならない。
後は賛美歌を歌いながらカメラを写すくらいだ(笑)
(実はこれは重要で、シャッターをバチバチ押しても、ちゃんと聖歌を歌い、要所でお祈りもすると、神父様が認めてくださる)

先日の従兄弟の結婚式では、式場の専属カメラマン(カメラウーマン?)は、キリッとした顔の中年の女性であった。
その人が、片手をさっと上げて、「はい、こっちを向いてください」「そこ、もっと左によってください」と、厳しい顔でバリバリ指示を出す。
てきぱきと命令されるので、みなが自然にそれに従う。
片手を上げる様子が面白くて、ドイツ軍みたいだとヒソヒソ話していた。

その人が、ある時間が来たら、会場から姿を消してしまった。
そこまでの契約だったのだろう。
ホテルの従業員の人が僕の席にそっと来て、写真をお願いしたいという。

そこからスナップ的ではない写真も撮る必要が生じた。
テーブルをひとつずつ回り、新郎新婦を囲んで写真を撮った。
ひとつのテーブルに6、7人の人がいて、はい撮りますよ・・とみなに合図してシャッターを切る。
全員を統率するのはなかなか難しく、念のため数枚撮っておいた。

その写真を家のパソコンで処理し始めてビックリした。
数枚撮ったにもかかわらず、現像してみると、全員の表情が揃った写真がほとんど無いのだ。
必ずひとりは目を瞑っている。

顔はこちらを向いているのに、視線だけそれている人もいる。
恐らく撮っていた僕の背後に、自分のスマホか何かで撮ろうとした人がいて、撮られるほうはどっちを見ていいのかわからず、中途半端な写真になってしまったのだ。
スナップならそれで済むが、記念として残す写真ではそうはいかない。

自分の親戚の場合は、大体僕のやりたい事を理解してくれているので、全員スムースにこちらを向いているのだが、初対面の相手側の親戚の人たちに、僕から命令調で指示するわけにもいかない。
しかし結局はそれがよくなかったのだろう。
あの専属カメラウーマンのように、ビシバシと軍隊式に指示しないと、こういう写真は上手く撮れないのだ。
その点は勉強になった。

仕方が無いので、何枚かの写真から表情のいいものを切り取り、Photoshopでレイヤーを重ね合わせて、一枚の写真を作り上げた。
時間をかけてじっくり処理すれば、加工の跡がまったく判別できない合成写真を作る自信はあったが、今回は一日も早く写真を渡してあげたくて、また何しろ処理枚数が大量なので、1枚にじっくり時間をかけることができない。
程ほどの出来ではあったが、まあ言わなければ、顔だけ別の写真から持ってきて合成したとは、誰も気付かないだろう(笑)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )