両極端


D800E + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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僕の好みは、シンプルなものと複雑なもの、両極端に二分化する傾向があるようだ。
かつて時計を集めていた頃は、シンプルな3針式(あるいは秒針の無い2針式)か、逆にムーンフェイズなど複雑機構を組み込んだ、ゴチャゴチャした文字盤の時計が好きであった。
中途半端が好きではないのだ。

靴の好みに関しても、シンプルなプレーントゥか複雑なウイングチップかの、どちらかにはっきりと分かれてきた。
ストレートチップやセミブローグは、どうしても中途半端な形に思えてしまう。
すでにかなりの数の靴を持っているが、いまだに形のいいプレーントゥを見ると、思わず欲しくなる。
実用性やファッション性を求めるというより、単純に革製品として欲しいのだ。

自分の心理分析というのは、難しいものである。
自分が当事者であるにもかかわらず、第三者的な視点で、自身を観察しなければならない。
自分の靴に関する嗜好を冷静に分析してみると、その原因となる何らかの心理的な要因があるような気がする。

プレーントゥに関しては、実は以前より作業用の安全靴として、このタイプの靴を使用してきた。
靴といわれて最初に思い浮かべる、一番身近な形状である。
ただ現場で履くものであるら、当然油で汚れるし、程なくボロボロになってしまう。
安全靴には、その薄汚れたイメージがだぶり、僕としては必ずしもいい印象を持ってはいない。
もしかすると、それだからこそ、きれいなプレーントゥの靴を見ると、思わず欲しくなるのかもしれない。

ウイングチップに関しては、はっきりしている。
高校生の頃、通学時に満員電車の中で見上げていたリーガルの広告だ。
アメリカントラッドの影響の強い時代である。
当時の日常からすると、あの写真から感じられる品質感は、あまり身の回りに無いもので、十分にショッキングであった。
靴としてより、革製品としての魅力に魅せられたのだ。

実は同じウイングチップでも、パーツのカッティング・ラインが入り組んだパターンの、一般的なフルブローグはあまり好きではない。
(その割にはいっぱい持っているのだが・・笑)
好きなのは、ラインが後方にまっすぐに伸びた、ロング・ウイングチップだ。
リーガルの靴が、まさにそのアメリカンな形状だったのだ。
今でもオールデンやエドモンズといった米国メーカーのロング・ウイングチップのモデルが欲しくて、しょっちゅうサイトで眺めている。

いろいろな靴を買ったが、今となっては、興味の対象はプレーントゥかロング・ウイングチップの二つに集中している。
明らかに好みが偏っているが、好きなのだから仕方が無い。
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