青大将


D800E + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

大きな画像

工場に行ったら、ちょっと来て欲しいと経理の女性に呼ばれた。
青い顔をして立っている。
何事かと思ったら、蛇がいるので何とかして欲しいという。

こういう時は、いつも僕の出番である。
蛇はあまり得意ではないのだが、他の人では役に立たないので、僕が何とかするしかない。
事務所に行くと、何と玄関のドアのすぐ前に、大きな青大将が舌を出しながらがんばっている。
なるほどこれでは、蛇が苦手な人はもちろん、平気な人でもちょっと通れないだろう(笑)
出社してきた女性は、事務所に入ろうとして飛び上がって、裏口から回ってきたそうだ。

大きな青大将である。
太くて長くて、日の光を浴びて、エメラルドグリーンに輝いている。
何年も前から、時折見かけるヤツに違いない。

棒でつついてみたが、こちらに攻撃を仕掛ける様子はない。
あっちへ行きなさい・・という意味で、棒で軽く押すと、仕方ないという風に、スルスルと階段を下りていった。
そして、地面のアスファルトと外壁の隙間にある穴に入っていった。
地震や地盤沈下で、長年の間に出来た隙間だ。
ここが住処なのだろうか。

しばらくすると、またも女子社員が悲鳴を上げた。
また出たか・・と思い、棒をつかんで玄関に向かった。
先ほどと同じ場所に居座って、僕が行くと舌を出しながらこちらを見る。
棒でつつくと、また穴の方に降りていった。

太陽の光は強く、地面には直射日光が燦々と降り注いでいる。
穴の中はかなりの高温になっているはずだ。
昨日までの大雨で、水蒸気も凄いだろう。
さすがの蛇も、たまらず出てきたに違いない。
多分玄関のタイルが冷たくて、心地よかったのだろう。

それからしばらく見なかったが、数メートル離れた場所に停めてある車の方に行った時、建物の脇の別の穴から首を出している蛇をみつけた。
どうやら地面の下で穴が繋がっているらしい。
そこから首を出して様子を窺っている時に、歩いてきた僕と目が合ったのだ。
しばらくこちらを見ていたが、また追い返されると判断したらしく、やがて首を引っ込めた。

日差しは強く、穴の中はかなり高温になっていると思われる。
蛇は恐らく、少し離れたところにある桜の木のところに行きたいのだろう。
あそこは青々と葉が茂っており、見るからに涼しそうだ。
昨年までは、いつも桜の木のところで蛇を見かけた。

蛇はお金の神様だそうで、あまりいじめるわけにはいかない。
なるべく共存を図りたいが、玄関の前にいられては、お客様も寄り付かなくなってしまう。
今なら見逃してやるから、さっさと桜の方に行けばいいのに・・と思う。
しかし日中移動するのは、猫などもいるし、蛇にとっても危険が伴うのだろう。
恐らく今晩あたり、注意深く会社の庭を横断して、桜のところまで移動しているはずだ。
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