グッドラック


D800E + Carl Zeiss Otus 1.4/55 ZF.2

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世はサッカー一色だ。
海外の仕入れ先からまで、グッドラックというメールが来た。
世界的に重要な行事のようだ。
個人的にはあまり興味がないので、自分だけ浮いているように感じている。



ジャラン・スリウァヤの98348のバーガンディ。
ハイシャイン・カーフを採用した外羽根式プレーントゥだ。

話題のインドネシアのメーカー、ジャラン・スリウァヤの製品である。
発音が大変難しく、未だに社名がよく覚えられない(笑)
同社は、英国の靴の聖地ノーザンプトンで修行を積んだ、2代目オーナーのルディ・スパーマン氏の改革によって、目覚しい品質向上を遂げたという。

九分仕立て(製造工程の約9割を手作業で作る)という極めて手のかかる本格的製法でありながら、安い人件費を活かし、驚くべきハイコストパフォーマンスを実現している。
しかも革はフランス製の高品質なものが使われている。
モノは一流で価格は超ハイCP、さらには企業としてのポジションも確立されつつあるという注目のメーカーである。
いまや多くの一流デパートの靴売り場で見かけるようになった。

ハイシャインカーフというのは、ガラスレザ-系の光沢加工された革で、どうやらフランス・デュプイ社製のものを使っているようだ。
室内では黒っぽく見えるが、屋外で直射日光を浴びると赤みを増し、ワイン色と呼ぶにふさわしい美しい茶褐色になる。
この惚れ惚れするような色は、太陽光に含まれる光の成分を反射しているようで、日光を直接浴びないと現れない。
屋内でストロボを焚いて撮影すると、黒い靴に写ってしまうので、仕方なく朝早く起きて、窓からの光で撮った。

普段に使えるバーガンディのシンプルなプレーントゥが欲しくて、いくつものメーカーの製品を、実際に見て回っていた。
チャーチのシャノンのサンダルウッド、エドモンズのリーズのバーガンディ、シュー・アンド・コーのプレーントゥのバーガンディなどが候補であったが、それぞれ決め手に欠けていた。
そんな中、ジャラン・スリウァヤの外羽根式プレーントゥは、色も品質も形も良く、もっとも条件に合う一足であった。

唯一の問題点は、ヒールカップが緩めで、足とのマッチングがいまいちなことであった。
同社のラストの中で、比較的大きさに余裕のある人気木型だそうで、幅も広めである。
色のよさに魅せられてしまい、諦めきれずに何度か試着させてもらっているうちに、ひとサイズ落としたらしっくりくることがわかった。
靴べらで足をスポッと押し込む感じのタイトさであるが、何とかいけそうである。

ところでこの靴であるが、オールデンの990と雰囲気がよく似ている。
並べてみると、形はむしろジャランの方がスマートで洗練されている。
一方仕様を見ると、雨に有利なガラスレザーで、しかも購入したのはダイナイトソールのモデルである。
こちらはチャーチのシャノンに近い。
コードバンの990が雨の日は厳禁であることを考えると、このモデルは意識的に「実用性のある990」を目指したのではないかと思えてくる。
実際鏡面仕上げにすれば、コードバンとあまり見分けがつかないかもしれない。

価格は国内の正規品を買っても3万円台と安く、オールデンやチャーチの半額以下である。
まさに990とシャノンのいいところ取りである。
そう考えるとプアマンズ・オールデンと呼べなくもないが(笑)、作りは九分仕立てとまったく負けていない。
コードバンの靴のように大切にしまっておくのではなく、惜しげもなくガンガン履く・・というのが、この靴の正しい使い方であろう。
実のところ、かなり気に入っている(笑)


さらに太陽光を強く当ててみると、内側から浮き出るように、美しいバーガンディが現れる。
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