強風


SIGMA DP1Merrill

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千葉にある得意先の工場に、トラックを運転して荷物を届けた。
月初の棚卸の日で、製造の手を止めて皆で在庫のチェックをしていた。
いつもと違い、静かな中で作業が行われていた。
工場長さんと少し話をして、コーヒーをご馳走になり、昼頃にまたトラックで帰途についた。

新学期が始まったのか、帰宅途中の児童が列になって歩いている。
危険の無いように、その中をゆっくりと運転した。
気温も程々で過ごし易く、穏やかな日であった。
ミラーの中の青い空には、鮮やかに立ち上る積乱雲がくっきりと見えた。

会社に帰って、遅い昼食を取っていると、仕入先から電話があった。
僕が千葉に配達に行くと聞いていたので、心配して電話したという。
僕の行った得意先の工場長さんと、ついさっき話したという。
最初は何のことか意味がわからなかった。

僕が帰って程なく、天候が急変した。
たちまち辺りが真っ暗になり、僕が荷物を届けた得意先の工場は、黒い風の塊に襲われた。
建物が揺さぶられ、置いてあった資材の多くが、凄まじい勢いで吹き飛ばされた。
敷地内にはどこかから飛んできた10mもあるトタンが落下し、電柱が根元から折れたという。

帰宅の途中で僕もやられたのではないかと、皆が心配したらしい。
幸い裏道を選んですいすいと帰ってきた僕は、上手い具合に天災に遭わずに会社に戻ることが出来た。
途中少々雨は降ったが、まさかそんなことが起きているとは想像もしなかった。

トラックは四角い箱型の荷台の空気抵抗が大きくて、風が吹くと非常に危険である。
強風の日に高速道路を運転していると、1mくらい横にズルッと持っていかれ、ヒヤッとすることがよくある。
荷物を降ろした帰り道も危険で、道の凹凸でピョンピョンと車が跳ね、体が椅子から浮かび上がる。
一定の重量を積んだ時に安定するように作られているので、軽くなった状態は危ないのだ。

今になって考えると、今日は危機一髪だったかもしれない。
途中通過した国道では、電柱に突っ込んだり、ひっくり返った車もあったそうで、撮影のヘリコプターが飛び交っていたという。
時間が少しずれていたら、トラックの運転に慣れていない僕では、正直どうなったかわからない。

地震はもちろんだが、竜巻、洪水、落雷、土砂崩れ・・
大きな自然災害が、身近に発生するようになった。
今までの常識や価値観、心構えでは対処できない時代が来ているようだ。
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