エジプト型


SIGMA DP2Merrill

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人の足の形は、「エジプト型」と「ギリシャ型」、それに「スクエア型」に大別できるという。
それは一体何だ??と思われるかもしれない。
それぞれの時代に作られた彫刻を調査し、その足の形からつけられた名称だと言われている。

「エジプト型」というのは、足の5本の指のうち、親指が一番長くて、人指し指、中指・・と順番に階段状に落ちていく形状の足である。
それに対し「ギリシャ型」は、足の第2指である人指し指が一番長く、それを頂点に左右に落ちる形状の足である。
「スクエア型」というのは、親指から中指くらいまではほぼ同じ長さで、指の先端が横一列に並ぶ、四角に近い形の足の事である。

長く草鞋を履いていた日本人は親指が発達したため、「エジプト型」の割合が非常に多いという。
実は僕の足も、典型的な「エジプト型」である。
ところが最近の若い世代では、歩く機会が減ったためか「ギリシャ型」が急増しており、「エジプト型」と拮抗するほど割合が増しているようだ。

ここで注目すべきは、足の形と靴のつま先の関係である。
一般的な靴は、ラウンド・トウもスクエア・トウも、ほぼ中央部を中心として、両側が柔らかいカーブを描く形状である。
この輪郭は、人指し指が一番長い「ギリシャ型」に向いた形と言える。

この形状の靴に「エジプト型」の足を入れると、親指が内側にぐっと押され、常にストレスが加わった状態になる。
最悪の場合、親指が湾曲し、外反母趾になってしまう。

一方で「エジプト型」の足の形状に合わせた靴もある。
オブリーク・トウと呼ばれるもので、靴の一番内側の親指部分が真っ直ぐに伸び、そこから斜めにカットされたように傾斜している。
オルファのカッターナイフの刃先のような形状である。

オブリークとは斜めという意味で、元々は健康の事を考えて開発された靴だという。
実際に履いてみると、確かに指の辺りには余裕があり、抑え付けられるようなストレスは少ない。
本来靴とはこういうものかと思う。
しかし全般に格好が悪く、特に僕のような幅広の足に合わせたオブリーク・トウの靴は、どうにもマンガチックな形状になる。

オーナーは真上から自分の靴を見下ろすので、嫌でもそれが目に付いてしまう。
僕が普段履きに使っているリーガル・ウォーカーの靴がオブリーク・トウなのだが、足元を見るたびにその不恰好な形が目に入り、気になって仕方がない。
考えてみれば、僕は左右対称でないと我慢できない性質なので、この形状が許せるはずがないのであった(笑)

ただ足をストレスから開放するのは、健康上は相当重要なことだという。
体の一番下部にある足には、血液を押し上げて心臓に戻すポンプの役目もあり、それが体全体の調子に大きく影響する。
デザインの良さより、健康への影響を優先させる方が、靴には大切なことかもしれない。
確かに、足裏のようにツボが集中するデリケートな部分を、違う形状の型に無理矢理押し込めているとしたら、それが様々な病気の原因になってもおかしくはない。
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