COLKIDが日々の出来事を気軽に書き込む小さな日記です。
COLKID プチ日記
ベアデッド・コリー
SIGMA DP2
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20数年前、赤坂で務めていた頃の上司であるTさんのお宅に、家族でお邪魔した。
今は引退されて、郊外にご夫婦で住まわれている。
近所のイタリア料理のお店で食事をご一緒した。
今日は僕にご馳走させてほしい、と話したら、その事に感激された様子で、やめていたお酒を今日だけは飲む、ということになった。
そこでワインのマグナム瓶を頼んだ。
欧州の大衆酒場のようなお店で、ピアノの伴奏で給仕が美声を披露してくれる。
誕生日のお客の席では、厨房の人たちやマネージャーまでが出てきて、花火の刺さったケーキを中心に机を取り囲み、大声で祝いの歌を歌ってくれる。
歌声と拍手の絶えない、賑やかさが売りの面白い店であった。
しかし、その店ではゆっくり話が出来ない(笑)というので、その後Tさんのお宅に伺い、再度お茶をいただくことになった。
家ではベアデッド・コリーという大きな犬が飼われていて、お客に飛び掛ると困るので、その日は金属製の檻の中に入れられていた。
長い毛に目がかくれて表情がよく見えない犬で、まだ子犬だが重さは21キロもあるという。
Mrs.COLKIDが檻の外から撫でたりしていたが、可哀相だから出してやってほしい、とお願いした。
おだやかな性格の犬なので噛み付きはしないが、子犬なのでじゃれ付くのをTさんは心配されている。
あちらはじゃれているつもりでも、体が大きいから衝撃がすごいというのだ。
中にはショックで固まってしまう来訪者もいるという。
しかし、犬には慣れているから大丈夫と、檻から出してもらうことになった。
檻の入り口を開けると、犬は大喜びで飛び出してきた。
毛の塊が、家の中をドタドタと地響きを立てて走り回る。
数メートル先から勢い込んで飛びついてくるのだが、21キロの重量物を投げつけられるのと同じで、衝撃がドスーンとくる。
しばらく嬉しさの余り人の間を行ったり来たりしていたが、そのうちどういうわけか、僕のことを気に入った様子で、僕にばかり飛び掛るようになった。
仕方なく僕だけ皆から離れて、居間のソファーの方に移動した。
犬は喜んで僕に何度もアタックしてくる。
それも少し離れたところから、助走をつけて飛んでくるのだ。
プロレスの空中殺法のようである。
やむなく椅子の上にあったクッションをひとつ掴み、それを体の前に出して盾にした。
犬は遊んでくれると思ったらしく、クッションに噛み付いて僕から引きちぎった。
すぐに次のクッションを取ると、犬は今度はそれに噛み付く。
そこで、人の家の応接間ではあるが(笑)、部屋中のクッションを次々に取り、枕投げのように犬に向かってボコボコと投げつけた。
犬はさすがに対処できず、顔面をクッションでたたかれ面食らっているようだった。
僕はこれでもかと言わんばかりに、容赦なくクッションを投げた。
そこまでやる人は初めてだったらしく、犬は少しぎゃふんとなり、おとなしくなって机の下にかくれてしまった。
僕が本気になって暴れているのを見て、「あなたがあんなに素早く動くのを初めて見た」とMrs.COLKIDがげらげら笑っていた。
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