あの曲

SIGMA DP2

大きな画像

先週、母親と三人で、夕食を食べに近所のショッピングモールに出かけた。
馴染みの寿司屋で食事を済ませ、少し酔っ払った状態で、玩具屋の店先をのぞく。
買うわけではないのだが、そこで売られているカエルのぬいぐるみに挨拶するのが、密かな楽しみになっている（笑）

母親が本を買いたいというので、ショッピングモールの中にある本屋に向かった。
書棚の吉村昭のコーナーを見るが、全部持っている本であった。
ふと気付くと、店内のBGMでピアノソロがかかっている。
なかなか良い曲で、しばらく聞き入った。

何という曲だろうと思い、店員さんに聞こうかと思ったが、レジにお客さんが並んでいるので、悪くて聞けなかった。
母親が本を買い終わったので、そのまま本屋を後にした。

それから向かいの雑貨屋に行き、何やらこまごまとした物を見た。
さらに明日の食事の材料を買いたい・・というので、僕はベンチで本を読んで、女性陣が買い物を終えるのを待っていた。
少し酔っ払ってはいたが、頭の中で先ほどの曲が鳴っていた。

数日経ち、やはりあの曲が気になって、朝のお店が空いていそうな時間を選び、本屋に電話してみた。
「つかぬ事を伺いますが・・」と切り出して、店内でかかっていた曲のことが知りたいと伝えた。
お店の女性は、有線放送なので曲名はわからないと言う。
何か手がかりはないか尋ねたら、有線のチャンネルの番号を教えてくれた。
いつもそのチャンネルの曲を流しているという。

次に時間を特定するために、母親に電話して事情を話した。
母親はすぐに理解し、電話の向こうで財布からレシートを出して、買い物をした順番に並べて時間を読み上げてくれた。
寿司屋の後、本屋、食品売り場・・・途中で玩具屋や雑貨屋をのぞいた時間も考慮しなければならない。
その結果、本屋に滞在した時間を、大体15分間くらいに絞り込むことが出来た。

それからUSENのサイトを見て、曲の検索システムを使って調べてみた。
チャンネルとおよその時間がわかっているので、これで行けるだろうと思ったが、その時間帯に4曲もかかっていることが判明した。
そのうち1曲は知っている曲だったので、残り3曲に絞られた。

ところが簡単にはいかない。
ピアノソロという比較的マイナーな分野なので、すでにCDが廃盤になっている場合も多く、買おうと思っても簡単には入手できないのだ。

3曲のうち一番可能性の高そうな曲は、ネット検索でもなかなか探し当てられなかったが、ためしに曲名を英語に直して検索してみたら、あるアルバムに収録されていることがわかった。
ところがすでに廃盤になっている。
アマゾンで探したら、中古で1枚だけ見つけたので、とにかく注文してみた。
そのピアニストの方は最近亡くなられたようで、プレミアムがついているのか、中古で5千円以上するものもあった。

これで曲が「当たり」ではなかったら、次の候補のCDを探すことになる。
昔なら何年もなぞのまま過ごすことになっただろう。
便利といえば便利な時代である。