酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

コロナウイルスはタナトスを呼ぶ?

2020-10-01 23:41:32 | 独り言
 おとといは横浜スタジアムに足を運んだ。V争いと無関係ゆえ、素直に野球を楽しめた。輝く選手の中でとりわけ目立っていたのは梶谷だ。〝ちゃらんぽらんな天才〟というイメージを抱いてきたが、ヒーローインタビューでは不断の努力を強調していた。FA権を獲得しているが、ベイスターズに残留してほしい。

 同日、開幕投手として菅野が12連勝の球団新記録を作った。俺は小学4年時、ルーキー堀内の13連勝を甲子園で目撃している。ON弾、赤手袋の柴田の盗塁と巨人ファンには堪らない展開で逆転勝ちする。その後、〝浮気〟してテレビでも野球を観戦しない時期もあったが、還暦をすぎて童心に帰った。贔屓チームは変わったが、子供の頃のように野球を楽しんでいる。

 当夜の始球式に登場したのは菜々緒だった。大型ビジョンに映る彼女に見入りながら、俺は思った。菜々緒の代わりに芦名星さんや竹内結子さんがカクテル光線を浴びていても何ら不思議はないと……。ちなみに山崎は菜々緒が投じたワンバウンドをよけきれず、ボールが側頭部に当たる。珍プレーの直後、初球本塁打と怪しい雲行きだったが、佐野の3ランで空気が変わった。

 コロナ禍は社会の隅々に暗い影を落とす。ソーシャルディスタンスが倣いになり、人と人の距離が遠くなった。日々発表される感染者数は人間の無名化、数値化をもたらし、他者に鈍感になる。欧州では共助、弱者との共存がポストコロナの基調になったが、日本については悲観的にならざるを得ない。中村文則が指摘した<公正世界仮説>に取り込まれているからだ。

 公正世界仮説とは、〝社会が理不尽で危険と思うと人は不安になるから、問題があると感じても認めない。誰かが被害を訴えた時、あなたにも落ち度があったと被害者を批判することが社会の主音になる〟……。具体的にいえば、権力者(首相や知事)に阿り、政治の無策にも怒ることなく、自己責任を粛々と受け入れる。<屈辱を噛み締める弱者は立ち上がる>が公式だが、日本では国民が沈黙を守るかもしれない。

 コロナ禍がもたらしたのは、生と死のアンビバレンツな志向性だ。國分功一郎(哲学者)は「生存以外のいかなる価値も認めない社会とは何なのか」と問いかけていた。病院に見舞いにいくことも出来ず、弔いや墓参も簡素化される。その一方で、生と死を隔てる壁が低くなったのではないか。三浦春馬さん、上記の芦名さん、竹内さんの自殺にそんな思いを抱いた。

 彼らは俺のような超凡人と対極にある。周囲は順風満帆と見ていたから、心の裡を誰何するのは難しい。物語、仮想の世界で煌めいている人たちは、現実社会でのリアリティーが希薄になり、その隙にタナトスが忍び寄る可能性もあるだろう。とはいえ、現実に縛られている者は、タナトスに蹂躙されても不思議はない。失業者が溢れ、確実に自殺者は増えるだろう。

 コロナ禍は明と暗を俺にもたらした。明はブログのステイホームバブルだ。遺書代わり、備忘録である点は変わっていないのに、ステイホームバブルで訪問者数は飛躍的に伸びた。バブルだからたちまち旧に復したが、3カ月足らずとはいえ、俺の駄文に多くの方が付き合って下さったことに感謝している。

 暗の方は、皆さんが経験されているように、行きつけの店が次々に営業をやめた。何よりライブスペース「高円寺グレイン」の閉店が痛かった。映画会、トークイベント、ミニ集会など30回近く足を運び、様々な人と出会い、交流出来たことは俺にとって大きな財産で、体の一部がもがれたような痛みを覚えている。

 システム障害で東証が終日、売買停止になった。市場は今、〝1%の運動会〟になっている。コロナ禍対応で財政出動が世界の空気になっている。リスクが小さいとみて、資金は市場に流れているという。今回の件は、<99%>の生活実感と株価が無縁であることを教えてくれた。

 今稿は米大統領選の公開討論会をメーンに据えるつもりだったが、目を覆うような内容について、次稿の枕で記すことにする。
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