酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

「ルーフトップ・コンサート」でビートルズと再会

2022-03-11 20:21:54 | 映画、ドラマ
 ロシアのウクライナ侵攻、韓国大統領選、そしてきょうは東日本大震災と原発事故から11年……。これらについては次稿に記すことにする。

 年金生活で暇になったので、BSやスカパーでドラマや映画を何とはなく見ている。最近発見したのは「取調室」だ。いかりや長介主演で1994年から2003年、19回にわたって放送された。平成年間だが、〝昭和の匂い〟が色濃い。アナログ人間の俺にはピッタリだ。

 藤井聡太竜王(5冠)がB級1組で佐々木勇気七段を下し、A級に昇級した。10勝2敗でトップ通過だが、厳しい戦いが続き、逆転勝ちも目立った。さすがに〝鬼の棲み家〟というべきか。最終戦も佐々木の作戦が奏功し、AIの評価値は拮抗していたが、優位を築くと鮮やかに寄せ切った。49勝3敗で到達したA級でも、挑戦者争いでリードすることは確実だ。柔らかな言動と、鋭い指し手のアンビバレンツが謎めいている。

 前稿で紹介した「ロスバンド」の余韻に浸っていると、「ザ・ビートルズ GET BACK:ルーフトップ・コンサート」(2021年、ピーター・ジャクソン監督)を見たくなった。ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリソン、リンゴ・スターの4人が天空に飛翔した軌跡に思いを馳せた。

 ラジオで「シー・ラヴズ・ユー」を聞いたのは7歳の頃。魔法のような旋律に憑かれたが、〝同好の士〟が小学校にいるはずもない。再び洋楽の門を叩いたのは高学年時に放映された「ザ・モンキーズ」で、番組で流れるヒット曲を口ずさんでいた。

 当時はグループサウンズ全盛期で、価値基準を持たない俺は、ビートルズ、モンキーズ、タイガースは似たようなレベルと考えていた。中学に入って本格的にロックに関心を持つようになるや、ビートルズが比類なき存在であることを知る。2年生の秋、公開直後に見た映画「レット・イット・ビー」には、「ルーフトップ・コンサート」の映像の一部が収録されていた。

 「ロスバンド」ではメンバーが会場に向かう途中、資金稼ぎにカラオケ大会に参加した。そこでマッティンの秘められた才能が明らかになるのだが、それはともかくカラオケは<世界の文化>だ。200を超えるビートルズの曲で100曲以上歌えるなんて方は億近くいるだろう。映画「イエスタデイ」がヒットするのも当然だ。

 「ルーフトップ・コンサート」は1969年、セッション中のビートルズが自社ビル屋上で敢行したゲリラライブを収録したものだ。映画公開当時、音楽メディアではジョンとポールの不仲が取り沙汰されていた。制作現場でもジョンと寄り添うヨーコに、ポールが不快感を抱いていた。確かにスタジオではポールがイニシアティブを握っていた。

 だが、ルーフトップでは様子が異なる。真ん中に立つのはジョンで、向かって左のポールは演奏のさなか、ジョンを目で追う。誰がリーダーなのか、暗黙の了解があったのだろう。「ゲット・バック」(テーク1~3)、「ドント・レット・ミー・ダウン」(テーク1、2)、「アイヴ・ガッタ・フィーリング」(同)と撮影は進み、他の2曲を含め42分で終了する。警官2人が出動し、アンプの電源を切らざるを得ない状況に追い詰められたが、再度つなげて演奏は続行された。ポールが即興で歌詞を変え、ジョンは機転を利かせた挨拶でライブを締めくくった。

 階下には人が続々集まってきたが、中高年男性の多くはビートルズに好意的だった。まさに〝音楽の力〟で、かのフランク・シナトラが「サムシング」を〝史上最高のラブソング〟と絶賛したことを思い出す。印象的だったのはライブ直後の控室で、20代の4人の青年と奥さんが談笑していた。

 ソロ作品で相手を攻撃するなどジョンとポールの亀裂は隠しようもなかったが、先日オンエアされた「アナザーストーリーズ」(NHK)でのジョンの友人(カメラマン)の証言に心が和んだ。ニューヨーク在住時のジョン宅をクリスマスの日、ポール&リンダ夫妻が訪ねたという。ジョンが亡くなる前、2人は和解していたのだろうか。

 「ロスバンド」では引退したドラマーが、商業主義に堕したロック界の現実を斬っていた。レーベル、興行界、メディアが一体となり、バンドはインターバルをあけてCDを発表し、ツアーに出るのが業界の常態だが、ビートルズをはじめ、当時のバンドは創作意欲に忠実で、毎年のように新作を発表していた。60~70年代はロックファンにとって天国だったに違いない。
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