酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

「トゥパック:伝説の死と再生」

2006-08-07 02:15:24 | 映画、ドラマ
 ラップやヒップホップについて何の知識もないが、WOWOWで放映された「トゥパック:伝説の死と再生」を見た。トゥパック(2PAC)が死を迎えるまで(96年9月)を追ったドキュメンタリーである。2PAG自身が死後の世界? から一生を振り返る形で進んでいく。

 2PACは才能に満ちたハンサムな自信家で、ミッキー・ロークらと共演するなど、俳優としても評価されていた。「サグ・ライフ」を提唱し、全米の黒人から支持される。エスタブリッシュメントの白人は「暴力礼賛」のレッテルで貶めたが、2PACの真意は黒人の意識と地位の向上だった。2PACの母はブラックパンサーの女性幹部で、父はギャングの一員だった。ラディカルさと後ろ暗さは、両親から受け継いだものなのだろう。

 英国では10年ほど前、オアシスVSブラーの「ブリットポップ対決」が仕掛けられたが、同時期のアメリカでは遥かにスケールが大きい「戦争」が勃発していた。東海岸(バッド・ボーイズ)と西海岸(デス・ロウ)のヒップホップ2大勢力が、ギャング団の抗争を背景に衝突し、2PACは最前線に立っていた。2PACはもともと東海岸で活動していたが、自らへの襲撃事件でノトーリアス(ビギー)の関与を明言する。レイプ事件で服役後(逮捕歴12回!)、デス・ロウと契約し、西海岸に本拠を移した。

 死を覚悟した2PACは、言動をエスカレートさせていく。親友のタイソンの試合を見た後、ラスベガスで銃撃され、絶命する。真犯人は不明のままだ。宿敵とされたビギーも1年後、凶弾に斃れた。権力の陰謀を疑う声も強い。FBIは抗争を偽装し、世間的に無名なウエストコーストパンクの力を削いだ。数百万枚を売り上げる2PACは、FBIにとって目障りだったに違いない。

 ウィキペディアで面白い記述を見つけた。死後も未発表音源が続々CD化され、いずれもヒットしたため、2PAC生存説が流れたという。本作のラストで、2PACとビギーの母親が抱き合うシーンが紹介される(MTVアワード?)。東西抗争はエミネムらの尽力で終結を見たようだ。

 遠からず50歳になる俺は、2PACの倍も生きていることになる。たった5年の活動で伝説になる男と自身を比べても仕方ないが、<生きた証>ぐらい残したいと思う今日この頃だ。


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