酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

ネット時代の政治動向~統一地方選の結果を踏まえ

2007-04-10 01:24:22 | 社会、政治
 石原慎太郎氏が都知事選で3選を果たした。五輪招致と市場移転に否定的な声も強いが、投票行動に結び付かなかった。当選一夜明け、傲岸な石原節は復活している。北海道でも現職知事が圧勝した。争点の格差はどこへやら、都民と道民は、痛みに鈍感になってしまったのだろうか。

 俺の神経も磨耗し切っている。ネット上を徘徊し、災害や温暖化の深刻な現実、不正義の数々を知っても、別のHPに飛んだ瞬間、憤りや痛みは消えている。ネット依存で世界との阻隔感が拡大し、鋼の皮膜をコーティングされたように、物事をリアルに感じることができない。

 先日、興味深いニュースが流れた。日本語ブログが英語を抜き、37%のシェアで言語別のトップに立った。英語圏の人口は日本の3倍以上であることを考えると、日本でのブログの普及は目を瞠るものがある。政治ブログの数も多いが、海外と事情が異なる。韓国や台湾でも、ブログは政治行動への参加を呼びかける手段になっているが、日本では意思伝達をネット上に限定するブロガーが殆んどだ。

 「ネット右翼」という表現には、鈴木邦男氏らが<右翼=肉体を通して思想を伝える者>という観点から異議を唱えている。それはともかく、リベラルや左派と比べ「ネット愛国者」は桁違いに多い。米議会の従軍慰安婦決議案、中国温家宝首相の来日、安倍首相の靖国参拝支持など、テーマに事欠かないはずだが、目に見えるデモンストレーションを行ったという話は聞かない。日本人にとってブログとは、透明人間として実社会で生きるための濾紙になっているのだろう。

 もちろん、ネットと現実政治とのフィードバックが欧米並みに進行する可能性も少なくない。小さな効力が都知事選で発揮された。ブログで話題沸騰の外山氏は、泡沫候補にしては上出来の1万5000票を獲得した。300万円の供託金は痛いだろうが、若い同志が集えば安いものかもしれない。

 都知事選の勝利に酔う自民党も、都議補選の結果を見る限り安閑としていられない。公明党も肩入れした自民候補だが、勝つにしても民主+共産の票を下回っている区もある。この傾向は全国に広がり、自民党は地方議会で敗北を喫している。下層階級の反乱は、燎原の火の如く広がっていると信じたい。ネットも一本の導火線になるはずだ。
コメント (5)
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