酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

レッスルマニア23~肉体を駆使する名優たちの祭典

2007-04-26 01:57:07 | スポーツ
 今年も3週間の時間差で、WWEのレッスルマニア23を満喫した。ここ2年と比べると試合の質も高く、フォードフィールドに集った8万観衆の熱気が、画面から伝わってきた。

 幕開けは王座挑戦権を8人で争うはしごマッチだった。落下の際、受け身を誤ると選手生命を絶たれる危険もあるが、選手たちはシナリオ通り、役割をこなしていく。勝ち名乗りを上げたケネディは、不思議なほど会社(WWE)のプッシュを受けているが、プロの目にしかわからないプラスポイントがあるのだろう。

 巨人対決ではカリがケインに圧勝する。芸も技もないカリだが、アンダーテイカーに再び挑むストーリーが用意されているのかもしれない。怪奇俳優として地位を確立したケインだが、本業で「かませ犬」になりつつあるのが心配だ。続くUS王座戦では、ベノワがMVP相手に貫録の違いを示した。

 最初のヤマはバティスタ対アンダーテイカーの世界ヘビー級戦である。異例の善玉対決だったが、ファンのリスペクトに大きな差があった。場外乱闘を織り交ぜ、得意技が次々に繰り出されたが、最後はテイカーがトゥームストーンで仕留め5度目の戴冠を果たす。ファンの願望通りの結末だった。

 ECW新旧対決は旧世代が制した。WWEはかつて、ECWの革新性を翻案してWCW追撃を開始した。今回の試合は、ECW旧世代への感謝の気持ちを込めた「花道」かもしれない。旧世代で力を維持しているのはRVDだけで、自虐的に体を痛め続けたサブゥー、サンドマン、ドリ-マーに、昔年のパフォーマンスは望めない。

 ビンス・マクマホン代表と不動産王トランプの剃髪マッチは、極上のエンターテインメントだった。ビンスがIC王者ウマガ、トランプがECW王者ラシュリーを代理人に選び、主演映画公開間近のオーストンがレフェリーを務めた。シェーン乱入などお約束の混乱を経て、ビンスが坊主頭になる大団円に至る。ビンスは全米の注目を浴びただけでなく、カツラ疑惑をも晴らせた。泣き顔を作りつつ、心で笑っていたに違いない。

 もう一つの王座戦は、WWE王者シナが関節技でHBKからタップを奪い、防衛を果たした。この2年、シナは形式上WWEを支配してきたが、昨年のレッスルマニア(HHH戦)に続き、ブーイングを浴びていた。シナのイメージは<悪ぶっているが、実は成績優秀で先生と仲がいい高校生>であり、人気はあってもリスペクトとは程遠い。ヒール転向も一つの手だが、ハリウッド進出を果たした今、キャラを変えるのは難しいかもしれない。

 10年前のWWE(当時WWF)は、無手勝流でカウンターカルチャーの要素が濃かった。DXは風俗紊乱を体現するパンクスだったし、ロックが属していたネイションズ(有色人種連合)は、ウォリアーズ風の軍団と抗争を展開していた。キリスト教保守派をパロディーにして笑いを取っていたが、WCWを吸収して独り勝ち状態になるや、保守化の風潮に乗って共和党寄りになる。

 次期大統領はオバマかヒラリー・クリントンだろう。<大衆迎合>がレーゾンデートル(存在理由)のWWEのこと、民主党時代を先取りし、スタンス揺り戻しを画策しているに違いない。


コメント (4)
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