弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

弁理士試験制度

2006-06-07 00:00:52 | 弁理士
4月21日に産業構造審議会の第1回弁理士制度小委員会が開かれています。その議事録が特許庁ホームページで公開されました。

弁理士試験制度についての私の意見は、弁理士試験制度の方向弁理士試験制度の方向(2)弁理士試験制度の何が問題か実務能力評価試験は可能かで論じてきました。

私の意見の骨子は、
・実務に脂の乗りきった実務者の業務遂行と実務スキルアップを妨げてはならない。受験勉強に必要とする時間を短くすべきで、そのためには合格者数の枠を増やす(現状のように)しかない。
・弁理士の大部分の業務は特許業務である。トータル勉強時間が減って特許法の知識が薄くなるのは困る。商標法を試験範囲から外して特許のみを専権とし、商標専権は別に商標法の試験に合格した者に与えてはどうか。
・合格者の増加で実務未経験者が増えたというが、実務経験の有無と弁理士試験(法律の試験)とは昔も今も関連がない。実務経験は実務で積むしかない。試験制度を変える、あるいは研修制度を設ける、といった方向では解決しない。
・弁理士登録に何年かの実務経験を義務化してはどうか。
・もし「技術と法律の素養を備えた専門家」を標榜するのであれば、技術系大学卒業か技術系科目選択のいずれかを必須とする必要がある。
といった内容です。

上記議事録から意見をピックアップしてみます。
知財協の戸田委員(弁理士)
「技術と法律に素養とか経験があって、きちんと権利化をやってくれる弁理士が一番です。」「数には余り不足感はない」「技術と法律をベースとした権利化手続がきちんとできる弁理士の育成を優先すべき」「試験制度は技術科目と法律科目を例えば論文試験で必須にしてしまって導入していくというのも一案ではないか」「逆に今よりも科目数を少なくするという受験生への配慮が必要」
「弁理士として誇りを持てる資格になっていくべきではないのかなと思います。誇りを持てるというコアは、技術と法律の両方がわかる専門家ということ」

経団連知財部会の澤井委員
「そろそろ数を増やすのは止めにしてもよい」「資質のところも、技術をわかる人が増えてほしい」「難しい試験をはい上がってくる過程で自分なりの考え方を身につけるところがいいんじゃないか」「問題の所在を把握した上でいろんな論理を構築でき、きちんと人を説得できるような人材が欲しいので、そういう資質のある人を選抜できる試験問題となるような工夫もして欲しい」

弁理士試験部会長の吉田委員
「今の試験制度の下では、例えば学生のような、いわゆる実務経験を全く持たない人がどんどん合格しているために、全体として能力の低下が起こったのではないかということは全くなくて、合格者の75%は企業の知財担当者と、法律、弁理士事務所等の方々ですから、これはほとんど改正前と変わっておりません。特に試験制度のために能力低下が起こったということはないように思われます。」
「これから実務能力を担保するために試験制度の側から何か制限を加えていくようなことをすることは、いわば規制改革の大きな流れの中でなかなか難しい」
「この問題は研修制度に相当大きな期待を寄せざるを得ないのではないか」

以上を踏まえた私の感想は、回を改めます。
コメント
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