弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

弁理士試験制度(3)

2006-06-10 00:16:49 | 弁理士
4月21日に開かれた産業構造審議会の第1回弁理士制度小委員会について、議事録の中から、先日ご紹介した委員以外の人の発言をピックアップしてみます。

弁理士会 神原委員
「弁理士の業務遂行能力、これは実務能力と言っても構わないと思いますけれども、それが十分でない新しい弁理士が増えてきている。」「国際条約について十分に理解していない弁理士が増えています。」「実務に接する機会が全くないという方々がどんどん新しい弁理士になっておりますので、そういったことも大きな要因であろうと思います。」

最近合格した弁理士の実務能力が不足していると訴え、研修制度の充実を勝ち取ろうという作戦でしょうか。この点に関しては弁理士試験部会長の吉田委員の反論を前々回に紹介しました。

商工会議所  坪田委員
「自社のニーズに合う弁理士を探すのが難しい。」「専門分野の区分けが広すぎるから、もっと詳細な分野になるとわかりやすい」「経営に精通した上で、こういった知財の関連に加わっていただきたい」「単に手続面だけではなく、経営のことをよく知った上で相談に乗ってほしい。」

特許庁 山口特許審査第三部長
「迅速・円滑な権利取得手続の妨げになると、邪魔をしているんじゃないかという行為が一部の弁理士に見られる」「弁理士資格のない方に実質的な代理行為をさせている」「関係法令とか、その事務に精通して公正かつ誠実に業務を行っているとは到底思えないという行為が見られます」

東京地方裁判所民事第29部総括判事 清水委員
「審決取消訴訟になりますと、審決を取り消すという観点から、取消事由の整理などをお願いした場合に、訴訟的な観点での理解が不十分ではないかと感じられることもあります。」
「弁理士試験の委員をやらせていただきましたので、それの感想で申しますと、最近はマニュアル化の弊害といいますか、非常に画一化したような答案が多いわけです。それから、口述試験を担当しましても、このまま明日から業務をされるのはどうかなという方もおられるということを感じます。」

審決取消訴訟での弁理士の能力不足は必ず話題になりますね。

東京医科歯科大学技術移転センター長(農工大TLO(株)取締役副社長) 前田委員
「大学というところはお金がありません。半分ボランティア的に料金の安い先生にお願いしなければいけないという状況があります。内容が、ナノサイズで導電性高分子を電気化学重合するというちょっと変わったものだったものですから、技術がわからなかったせいか、「てにをは」しか直していただけなく、とても悲しい思いをした経験があります。」「弁理士の方が単に量だけ増えますと、安かろう悪かろうの一番被害を受けるのがお金のない大学になるのではないかなと思っています。」

安いお金で充実したサービスを受けようとするところには無理があります。最近は大学も弁理士費用を相応に支出していると聞いたのですが、どうなのでしょうか。
コメント
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