弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

PCT国内移行後の処理開始時期(4)

2006-06-28 00:01:55 | 知的財産権
以下のような経過をたどるPCT国際出願(日本語)とそれに基づく日本出願があります。
優先日   :一昨年の夏
国際出願日 :昨年の夏
国内書面提出:昨年の夏
国際調査報告:昨年の秋
出願審査請求:昨年の秋
早期審査申出:昨年の秋
国際公開  :今年の冬

国内書面提出後、いつまでたっても国内出願番号通知が来ません。特許庁に確認したところ、「国際公開後に国際事務局から国際公開パンフレットを受領しない限り、国内の処理が開始できない」という状況であることがわかりました。このブログのその1その2で報告しました。

その後、今年3月に運用が変更になり、受理官庁が日本であれば、国内書面提出から2週間程度で国内出願番号が付与されるようになりました。ただし、今年3月27日以降の国内書面提出からの適用ですし、審査の開始はやはり国際公開パンフレットを受け取ってからである点は変わりません。その3に書きました。

今般、また特許庁の運用が変わりました。

「 日本を受理官庁としたPCT国際出願のうち日本語で作成された国際出願について、国際公開前に国内移行し、審査請求及び早期審査の申出を行った場合、国際公開を待たずに直ちに実体審査を開始することが可能となりました。

1. これまで日本に国内移行した国際出願については、審査請求及び早期審査の申出があった場合でも、国際公開後(正確には、WIPO国際事務局からの国際公開パンフレットの送達がなされ、庁内ファイルへのデータ格納がなされた後)まで、審査手続を開始することができませんでした。
2. この度、特許庁において、システム・運用の整備を行い、国際事務局からの国際公開パンフレットの送達前であっても、受理官庁に提出された明細書等を基に、実体審査手続を進めることが可能になりました。
3. これにより、出願人が国際公開前に国内段階に移行し、審査請求及び早期審査の申出を行った場合、国際公開(通常優先日から18月)前であっても直ちに審査着手がなされ、早期に審査結果を得ることができます。」

そうなんですか。
冒頭の私の案件がまさにその通りなのですが、特許庁の対応が1年早ければ良かったのに、ということでした。

特許庁に、私の案件の取り扱いについて電話で聞いてみました。
国際公開パンフレットが国際事務局から特許庁に届くのは、国際公開から4~5ヶ月経ってからになるのだそうです。従って私の案件も、そろそろ番号が付与され、その後速やかに実体審査が開始されるであろう、ということでした。

ところで、PCT日本語出願経由の国内出願について、早期審査の申し出が非常に簡単にできます。国際調査報告が出された後であれば、そのコピーを添付するだけで早期審査が認められるのです。早期審査・早期審理ガイドラインの20ページに解説されています。
これからはこのルートが使えますね。
コメント
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