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弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

文藝春秋の高橋洋一論文(3)

2008-01-14 20:03:39 | 歴史・社会
文藝春秋1月号「大増税キャンペーンに騙されるな~財務省が最も恐れる男が増税論の詐術を論破」高橋洋一(内閣参事官)
財務省と自民党与謝野馨氏らが目論む増税路線「日本銀行の愚かなプライド」に続いて、ここでは同論文中の「余り金をポケットから出せ!」「国有資産を抱えこむな」「日本の公務員の権限は世界一?」についてまとめます。

《余り金をポケットから出せ!》
例の「霞が関の埋蔵金」の話です。
かつて塩川正十郎財務相が、一般会計と特別会計を「母屋でおかゆ、離れですき焼き」と指摘しました。
各省庁が持っている特別会計は資産超過のものが多く、高橋氏が2005年に各特別会計の資産負債差額を洗い出してみたところ、全体で「46兆円のすき焼き」があることが判明しました。
なかでも、財務相の「財政融資資金特別会計」は、金利変動リスクに備えるために26兆円、「外国為替資金特別会計」は為替リスクに備えるために16兆円という巨額の積立金を抱えていました。これは要するに、その適正水準によるが、当面必要のない「余り金」とみることができ、しかも合理的な適正水準は示されず、実際はこれまでの運用益の累積になっています。
「財政タカ派」の主張は、特別会計の積立金等はそれぞれの目的があるので取り崩せない、この意味で埋蔵金はない、ということです。この主張は官僚の意見そのものであり、会社であれば、内部留保があるがその使い方を執行役員が決めているようなものです。内部留保については、その使い途は株主たる国民が決めるべきものです。

《国有資産を抱えこむな》
国有資産の売却も財政再建につながります。日本の政府資産の特色は、金融資産が多いことで、特に財政融資による特殊法人などへの貸付金が4割を占めます。金融資産250兆円のうちかなりの部分は、証券化という手法を使い時間をかければ売却できるだろうとのことです。
しかし各省庁は、天下り確保のためにそれらを手放そうとしません。

国有資産の民間活用も真剣に検討すべきとしています。

《日本の公務員の権限は世界一?》
各国政府の金融資産を比較すると、日本は300兆円以上で先進国で飛び抜けて大きく、日本政府の資産は、GDP比で見るとアメリカ政府の10倍はあります。日本の公務員の数は少なく、官僚一人当たりの権限がアメリカよりはるかに大きいのです。
小泉時代の構造改革路線では、こうした官の大きなプレゼンスをなるべく小さくし、民間でできるものは官がやってはいけないという方針を立てました。2005年に竹中大臣が「改革の本丸は郵政民営化、二の丸が政策金融改革、三の丸は政府の資産負債改革、つまり特殊法人や特別会計の整理だ」と語ったのがその流れです。


「上げ潮派」と「財政タカ派」を比べると、相対的に前者は「小さな政府」、後者は「大きな政府」です。現在は政権与党内で両者が争っていますが、野党内でも同じような対立軸があるのではないか。先頃話題になった与野党間の大連立も、この「小さな政府」対「大きな政府」という「新たな対立軸」への導入になるのであれば、一定の評価ができるだろう、というのが高橋氏の見立てです。
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1 コメント

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サムライ千年マルテンサイト (グローバル鉄の道)
2024-09-01 05:09:24
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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