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弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

裁判官不足が続いている

2025-04-16 09:59:34 | 歴史・社会
法曹増でも裁判官不足の怪 見合わぬ待遇、弁護士に流出
2025年4月13日 日経新聞
『法曹界でトップエリートとされてきた裁判官のなり手不足が深刻だ。法曹人口は10年で3割弱増えたのに、判事補と呼ぶ若手裁判官は2割減った。企業法務需要が増えたことに伴い、大手法律事務所が最優秀層の学生らを好待遇で積極採用しているためだ。それでも採用方法を抜本的に見直す機運は乏しく、放置すれば司法システムが揺らぎかねない。』
『最高裁によると、24年度の判事補は673人と14年度の832人から159人(19.1%)減った。定員数を削っているにもかかわらず、定員の8割しか埋まらない状況が続く。』
裁判官の数は2800人弱で近年は横ばいが続きます。

五大事務所が、難関大の優秀な学生を司法試験の受験前から囲い込みます。試験の成績上位者は合格時点で就職の内定を得ていることが多いです。優秀な学生はこれまで裁判官になるケースが多かったですが、近年は人材獲得競争で劣勢に立たされています。
裁判官になっても度重なる地方転勤が重荷となって転身を図る若手も絶えません。
裁判官の採用については、司法試験の成績などを重視する傾向は変わらず、昔ながらのエリート主義が足かせになっています。

主要各国の制度の比較表が載っています。
        任用      転勤
米国(連邦)  法曹一元制   原則なし
英国     法曹一元制   原則なし
フランス   職業裁判官制  本人の同意が必要
ドイツ    職業裁判官制  応募制
韓国     法曹一元制   定期的に実施
日本     職業裁判官制  定期的に実施

米国、英国は一定の職務経験を積んだ弁護士などから裁判官を選任する「法曹一元制」を採用します。特定の裁判所の裁判官として任用されるため異動や昇進は原則ありません。
フランスやドイツは日本と同じく国家試験の合格者を裁判官として任用し、実務経験を積ませる「職業裁判官制」です。
ドイツの人口は日本の2/3ですが裁判官は2万人います。柔軟な働き方が可能で、異動も応募制で希望しない限り対象となりません。
上の表で、強制的な転勤を定期的に実施しているのは日本と韓国だけ、職業裁判官制に限ると日本だけです。欧米の主要国では、強制的な転勤がある国は存在しません。

私は「裁判官は定期的な転勤が存在するのが原則」と思い込んでいましたが、日本だけの特有の制度だったのですね。近い将来に、日本も主要諸外国並みの制度に変わっていくといいのですが。
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