筍、茹でて頂いたものを食したと何度か書いた。不作という人の話を裏付けるように、根回りの太さ、背丈、色合いの揃ったいいものは1本数百円の値がついて並んでいた。これは不足したころの野菜ほどの高値に相当する。そんな筍も旬を過ぎればひたすら伸びていき、竹の秋から翌年の筍の季節に備える。
竹細工を趣味としボランティアで花入れ、竹トンボ、竹笛、カップ、昆虫などの作品作りを教える知人が何人かいる。そこからの耳学問で竹の切り時を学んだ。伐採に適した時期は、竹の水揚げが止まる秋口から冬までの期間がいいという。その期間に切ったものは材質がしまって使いがってがよく、また虫がつきにくいという。木造の家を旨とする知人の大工は、今年の新築に向けて壁用の木舞竹として昨年12月に100本を超える竹を伐り出した。
木舞竹を使用する新築はほとんど見かけなくなったが、リホームで土壁をのぞく様子は見かける。知人の大工は、木舞を作る職人、木舞掻(こまいかき)という人が少なく、大工自らも木舞作りをするという。昭和39年東京オリンピックの年、父が新築する時に見た木舞作り職人の竹と縄を絡める手さばきの速さを思い出す。
大正造りの建屋の入り口に優に1㍍はある小さな根を無数につけた筍、ではないが筍が置かれている。よくぞ掘られたと感心しながらも、筍として玄関口に花と並べて飾られる風流な人のあることを知った。この季節でなければ見ることのできない大きな筍飾り、旬の締めとして頑張れと応援する。
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