2016年02月01日 中国新聞「広場」掲載
山間部の盆地で、仲間と共同で野菜を育てている農園。今年初めての作業日の朝は大霜で、車を降りる時は寒さに身構えた。
畑は凍っており作業は難しいだろうと心配したが、耕運機に助けられて順調に進み、ソラ豆やホウレンソウを植えた。
この日、収穫したのは大根、白菜、里芋など。大根は大量にあり、夫婦二人では新鮮なうちに食べきれない量だった。妻と相談して、何十年かぶりに干し大根を作ることにした。
小物の洗濯物を干すハンガーが空いていたので、これに輪切り大根を挟み、軒下に下げた。
昔、わが家では干し大根は貴重な保存食品だった。母も祖母も、この季節には干し大根を作り、煮しめやまぜご飯、酢の物などにして食卓に載せた。切り干し大根は、「甘味が出る」と言ってもんでいた。
思いつきで始めた干し大根作りだが、質素でも工夫した昔の生活の一端を思い出し、母や祖母の苦労をしのんだ。
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