庭にツワブキの花が咲き始めてしばらく経つ。今年は花の数が少ない、と話したら「少なくとも数年に1度くらいは株分けの手入れが必要」と教わった。株分けしてもらったものを植え付けて何年になるだろうか、枯れた葉は取り除くが株分けはしていない。その季節は春ころと聞いたので冬明けには調べて挑戦してみよう。
ツワブキはその昔には民間薬や食材として重宝され、繁殖させたと教わる。その増やし方は株分けと種からという。葉を火にあぶったり、葉を絞って青汁にしたり、根茎を乾燥させたりと、症状に合わせて使っていたという祖父母の話を教えたくれたのは、田畑を受け継いだ知人。記憶の薄らぐくらい古い話を思い出した。
昨今、野の花の根性物語など話題にもならないが見つけるとやはりなにがしかの感動を感じる。建物のコンクリート基礎とアスファルト舗装の歩道のわずかな隙間にツワブキの花が咲いた。自然の成すがままに生きて来た力は野生という一言で片づけるには気の毒な気がする。試練に耐えるDNAを受けついでいるからだろう。
そんなDNAは人にも欲しい。根性物語がもてはやされた時代もあったが、昨今は根性話は通用しない世情になった。高齢者の雑談の中で、子供虐待は絶対に許せないが鍛えるという意味でのなにがしかの策はいる。そこから先の具体的な話は出たがここでは押さえておこう。根性ツワブキはどこからどうしてあの場所とどまったのか、生き延びて子孫を残すという自然界の理法だろうか。