出先で食べる昼食、現役のころは様々だった。高価なものは行先であらかじめ用意されている昼食。松花堂など容器に盛り付けられた弁当、その逆は、東京駅の改札を出て山手線に乗り換えるまえに食べていた中華そばだろう。午後一番の会議に間に合う。また、本社近くのビル内にある職員食堂、在京の同僚は上京者をいろいろ案内してくれた。田舎では出合えないメニューも口にした。
NHK総合TVで放送される「サラメシ」は働く人の昼ご飯を覗き見するバラエティー番組、たまに見るがその昼食のさまざまな関わりが面白い。活力を作るサラメシ、家族の応援弁当、新婚さんの何とも恥ずかしい飾りつけ弁当、職場ぐるみで作る昼食など放送の中身は異なっても、思わず笑わせたり故郷を思い出させたり、家では言えない感謝の言葉が聞かれたりと自然な形で写されている人生模様が意味深い。
その中で違った面白さを感じるのは「賄い食」。賄いを仕事にする人らの食事、食堂でいえば客には出さない従業員用に作る料理のこと。和洋中の店、ホテルに社員や職員食堂と取材先は多様だが、若い人らの訓練も兼ねて作られるそれは、いつか表のテーブルに出されるかもしれない味も多いという。料理に必要な材料はすべて備わっている、味わってみたいものだ。
退職後の食事はほとんど自宅で摂る。朝と夜はそれなりに準備される。昼食はその日の成り行き、前夜の状況、突発の来客や頂き物などでいろいろある。出かけるときはあれこれ算段するが格別の変わり映えしない品に落ち着く。今日も出かけたがうどんですます。肉うどんとムスビ1個で何と390円、味よしの店なので得し儲けたようよう気分になる。これで喜んでいるのだから安いものだ。