
暦の上では「雨水」、降るものが雪から雨に変わる頃とある。積った雪や張った氷がゆっくりと融けだして田畑を潤し始める。これを合図に昔は農耕を始める時期がやって来たと腰を上げる。こうした時期だが、何度目かの寒気団が日本をすっぽり覆い、今週は雪や風に注意が必要という。今朝の夜明け前の空はそんな予兆を感じる雲いきだった。
寒い話のついでに寒い話し。「いくつになられました」と聞かれ正直に八十路半ばになることを話し、「戦前(センゼン)の生まれです」とつい付け加えた。聞いてきた人は私より若い。この人と歳の話をしたのは始めてと思う。それはいいのだが「センゼンを知らない」「日本は戦争したのですか」という高校生がいると話され、気候の寒さ以上にこれからの日本に寒さを感じた。
そういえばTVの番組名と局名は失念しているが、若い出演者の多くが昭和について分からないとする答えが多かった。学校で近代社会のことはどのように教えているのだろうかと思った。昭和、戦後の荒廃からの復興、そして世界経済の幾多の大きな波を超えたから今の安定と繁栄と技術進歩の基礎が築かれたことを忘れてはいけない。
また、戦後80年の節目でもある今年のノーベル平和賞を被団協が受賞したことはぜひ記憶しておいてほしい。広島・長崎の高校生が核兵器の無い平和活動に勤しんでいることも心にとめて欲しい。心地よい今に埋没しないでSNSだけでなく世の動きにもアンテナを向けて欲しい。
(今日の575) 戦争をしたこと知らぬ驚きだ