魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

映画教材

2010年07月10日 | 日記・エッセイ・コラム

No.959

イギリス誌で「7人の侍」が、「史上最高世界映画100」の1位にあげられた。
そこで、何十年かぶりに観てみた。やっぱり、面白い。
ただ、残念なのは、DVDの、音声だけでもリマスターしておいて欲しかった。蔵出しのフィルムをそのまま見せられているようで、苦しかった。

映像も、かなり苦しかったが、昔の映画館を思い出して、それはそれで良かった。

面白いことに、白黒映画の記憶は、白黒で記憶されていない。
白黒映画だったことは憶えているが、ほぼ、色彩を理解していた。
昭和12年生まれの女の人が、若い頃に観た鶴田浩二の「ハワイの夜」の印象を「きれいやったわー」と言っていたが、後で調べると、白黒だった。

1953年当時、既にカラー映画はあったが、日本映画の多くは白黒だった。「7人の侍」も、「ゴジラ」も、1954年の白黒だ。
白黒映画を観ていた時代の人間の頭の中は、想像力が生きていた。
今、3Dでなくても十分、空間を想像できるが、3Dが一般化すれば、人の想像力はさらに、劣化するのだろうか。

近頃の、若い人はマニアをのぞけば、白黒映画を耐えて観ていることが、相当、辛いようだ。始めから観ない人が多い。洋画の字幕も読めなくなっているそうだ。

が、それでも、白黒時代の日本の名作は、日本人の教養として(いまや娯楽ではない)、何としてでも観ておいて欲しい。
何とか、学校の授業として、強制的にでも観せておくべきだろう。
既に行われているのなら良いのだが、どうなのだろう。

小説はなかなか2時間で完読はできないが、映画は人生ドラマが2時間で観られる。人間性理解の上で、道徳などを語って聞かせるより、よほど効果的だ。

白黒映画でもやむなく観だせば、面白い。昔の映画が良いのは、目先の刺激だけで見せようとするのではなく、じっくりと時間を掛けて解らせようとすることだ。何とか、名作だけでも見やすいデジタルリマスターをして欲しい。教材としても。
しかし、マンガなら、白黒でもかまわないのだから。むしろ、観方の工夫が必要なのかも知れない。