「情報7days」で、セカンドキャリアの失敗例と成功例を紹介していた。
一人は、一流大学から一部上場企業の幹部で退職、居酒屋を始めた。もう一人は、売れない役者を止め資格を取って行政書士事務所を開き、その関係で企業向けセミナーの講師を始めた。もう一人は、不動産会社の営業マンを辞めチェーン傘下の造園業を始めた。
居酒屋は大失敗で借金を作り、結局、再就職で借金返済中。
セミナー講師は芸が身を助け大受けして大成功。
造園業は庭の手入れで訪問する家に愛想が良いと好評で、これも大成功。
この番組では、成功のコツを、資金を掛けずに自分のスキルを伸ばすと締めくくっていた。
観ていて、蛙の子は蛙と言うことかと思った。と言っても親子のことではなく、自分自身が生まれ変わっても、同じ生き方しかできない、あるいはそうした方が良いということだ。
結局、それが自分のスキルを伸ばすということなのだろう。
元役者は、始めから自分だけを頼りの生き方をしていたので、完全な自由業で成功した。営業マンはサラリーマンではあるが、個人事業主感覚なので、親会社から仕事をもらって個人で仕事をしたのが良かった。
自分のスキルとは、自分の生きてきた社会や生き様のことで、職種や技能のことではないようだ。
居酒屋で失敗した人は、始めからサラリーマンを目指して、進学、就職し、野に生きたことが無かった。荒野のドラマを幾ら観ても、毎日食べられる動物園のライオンだ。自営業は、誰にも守られない野生動物だから、肩書きは何の役にも立たない。結局、サラリーマンに戻って、借金を返している。
それでもこの人は、失敗することで、自分が何者であるかを悟ることが出来たが、無事、定年退職した多くの老人は、自分が何者であるかを知ることもなく、ライオンのままプライドの井戸に隠遁し、周囲から煙たがられている。
活性化
人口減少で、高齢者の活用が見直され、定年を70歳に伸ばすそうだ。しかし、実態を観ていると80歳までは十分働ける。かと言って、定年を伸ばすと”もうダメ”な人まで雇わなければならない。
ここは、むしろ、高齢ドライバー免許と同じで、まだ若い元気な年齢で「一区切り」した方が現実的で、社会が活性化する。本当は、定年そのものを無くせば良いのだが、社会が殺伐とする。
ここでも、江戸時代は参考になる、社会制度は異なるが、40歳ぐらいで隠居して若い者に継がせ、自分は別のことを始める。後継者も相談できる人がいるので安心だ。
農家では隠居が新田を開き、商家では伊能忠敬のような人もいた。
早めのセカンドキャリアが必要な理由は、もう一つ。
社会そのものの変遷の中で、一つの業態、一つの方法が通用するのは、最大でも60年。通常はその半分の30年くらいだから、早め早めの世代交代がなければ、社会は絶える。