NHKは視聴率を気にしているのか、民放のいいとこ取りに熱心で、今年の大河「西郷どん」も、やたら宣伝が多い。明治維新も遠くなり、歴史ドラマも「面白ければいいんかい」の、何でもありだ。維新も、いよいよ「時代劇」になってきたようだ。
西郷隆盛と言えば犬を連れた上野の銅像を思い浮かべる。銅像は「将軍様像」や「慰安婦像」など、理解できないことばかりだが、西郷人気を考えると、具象化もバカにできない。
現在の中国は、まるで明治維新を踏襲しているかのようだ。維新後の日本は、列強に追いつくために、列強の力を利用し、列強の模倣を推し進めたが、建国時の軍主導体制は、昭和20年の敗戦まで続くことになった。この間、77年。
中国は建国から69年だが、先進国を利用し始めた改革開放からだと40年、これが明治後なら、ちょうど満鉄を始めた頃になる。中国は今、高速鉄道に熱を上げ、軍部があからさまな拡張政策を始めたことまで、酷似している。
そして、帝国日本の前に列強が立ちはだかったように、中国共産党の前に先進国が立ちはだかろうとしている。
複合模倣
毛沢東は建国の軍事力の象徴、西郷隆盛のような存在だろうか。
戦時の英雄は、平時になるとトンチンカンなことを始めるものだが、そうした場違いな存在を排除することが、国の発展段階には欠かせない、一つの戦後処理となる。
明治維新の場合、天皇という、政権の「上の存在」があったために、発展段階で軍事と民政が並行的に進行し、障害になる革命勢力が排除されたが、中国共産党は、毛革命軍が直接全権を掌握したために、経済発展の障害になり、復興が20年遅れた。キューバなど、カストロが死ぬまで60年近く続き、未だ払拭できないでいる。
明治維新革命軍の障害を取り除いたとは言え、帝国主義のただ中で成立した大日本帝国は、発展の過程で軍事力を欠かすことはできなかった。
しかし、戦後の日本が、米軍の影に隠れて、経済発展をしたように、第二次大戦後の国家発展の柱は経済であり、今も厳然と存在しているとはいえ、軍事は歴史の積弊で表に出すものではない。
中国は、日本の模倣で発展してきたが、その隠れた真実としての「米軍の保護」を、自前でまかなおうとしている。明治維新の軍事崛起と、戦後の平和を看板にした経済復興を、同時に実現しようとしているのだ。この矛盾が、中国の大きな誤算であり、弱点となるだろう。
月の満ち欠け
カニ座の中国は、月が象徴する。月は反射で光る模倣の天才だ。そして、人気も表すから、「メンツ」すなわち評判を気にする。母性の囲い込み習性もあり、幼児期と先祖を表すから、血統主義で差別意識が強い。また、満ち欠けの激しさ、移ろいやすさの象徴でもある。
共産主義をまねしたかと思えば、資本主義や明治維新をまねし、少し成功すれば、大国風を吹かせる。
母親のように、国民の耳を塞ぎ、他国には、うちの子(国民)もそう言ってますと自己主張をする。自分の欠点を責められると、改める前に、「皆さんもそう思いませんか」と同調を誘い、衆を頼んでライバルを追い出そうとする。お堅い甲羅の内側はグチャグチャ・・・
中国を理解しようと思えば、まず、カニ座の研究が欠かせない。