ロンドンオリンピック開会セレモニーに、歌って貰いたい歌手のネット人気投票をしたら、例のごとく、韓国勢の「集中お祭り投票」が押し寄せ、LADY GAGA等を押しのけ、聞いたこともないようなK-POPの歌手が並んだ。
すると、突然、思いもかけない「初音ミク」が出現し、あっという間に、1位になってしまった。この状況に、韓国では、自分達と同じように、日本人が集団投票したんだと憤慨したらしい。
しかし、韓国勢のお祭り投票のように、日本人はネット投票に熱心ではないし、まして、「初音ミク」を押し上げるほど、好みが偏っているわけでもないだろう。
ネット投票にかける韓国の情熱は、今や世界的なネット住人の常識になっている。昨年、ネット募集された「新世界七大景観」では、済州島が入選という不思議な結果になったが、この投票突撃に、政府関係筋だけで数十億を費やし、挙げ句の果てに、この投票の主催自体がネット社会を利用した詐欺だったという「珍事」があったばかりだ。
「初音ミク」の1位は、そうした、韓国の「ネット祭」を知る、世界のネット住人の、反発が生んだものとしか考えられない。
(※「初音ミク」は日本から発売されたボーカロイド、歌ソフト)
ミクとミタ
先日、「ミタ現象」で、リアルに演じるより、嘘は嘘っぽく演じた方が真実が伝わる「世相の歌舞伎化」の話をしたが、「初音ミク」の思わぬ世界的大人気も、現代の世相を反映している。
「初音ミク」のブレークは、成るべくしてなった観がある。
ミタ現象のような世相の歌舞伎化は、アニメブームとゲーム、ネットの非人間的世界が、現実を覆っていることを表している。
現実が、仮想を通して理解される現実がある。情報発達により、地球の裏側の情報を知り、会ったこともない人と話ができる時代になった。
一方で、目の前の人との接触が難しくなっている。店頭では人を介さずレジで済ませ、自動販売機で買い、無人改札を通り、メールで告白メールで別れ、恋愛せずに引きこもる。
皮膚感によるコミュニケーションができなくなる中で、肉体や声の持つ存在感が邪魔になってきた。
始めは、人間ではないアニメキャラで「人の存在感」が回避されていたが、その内、アニメ声優さえ邪魔になるようになった。
役者や歌手の存在を取り除いた、電子音なら、ストーリーや歌詞を純粋に受け止めることができる。
歌を聴くのに、美しい声より、歌詞やメロディーに集中して聞くようになった・・・・
それは、ミュージック爛熟の時代を経て、雑音で聞くSPレコードの時代が蘇ったのであり、映画ドラマの全盛時代から、仮面劇の時代、さらにはセレナーデや歌垣の時代・・・歌舞の原点に戻った
そういうことなのかも知れない。