対韓輸出規制。韓国の周章狼狽といい、周辺国の戸惑いといい、またも日本は、一人っ子的、「いきなり」をやった。
この経緯や心情は、日本人だからよーく解る。しかし、日本以外の国には全く「不可解」でしかない。
直接関係ない国は、ここに至る経緯と、日本人の心情が全く解らないから、大泣きする子供を見て、「なぜ?」と思えば、単純に「親が悪い」、「虐待している」と思う。
亭主の愚痴を言い、亭主が暴力を振るったと叫ぶ女房の言葉を聞けば、他人は「とんでもない亭主だ」と思う。
物事には理由があり、人と人とのトラブルは、自動車事故と一緒で、どちらかが100%悪いと言うことはない。しかし、関係ない人は、うるさければ面白半分で、表面的な判断をするから、騒ぎは当面、騒いだ方が通用する。
これを避けるためには、日頃から、あるいは始めから、小さなトラブルを公開して争うか、発信力のある複数の人に定期的に説明しておくことだ。
日頃から、関係者、周囲の人を意識し、理解して貰うことに、一人っ子の日本は、意識がない。または下手くそだ。自分の道理だけで、誰だってそう思うはずだ。相手も解るはずだ、と決めてしまう。日本は、国内意見が一致すれば、世界だってそう思うはずと疑わない。この傾向は、長子の中国にもある。
世界から、日本は宣戦布告をせずに戦争を始める国だと認識されているが、この状況なら当然だろう、と思い込むからだ。中国もやはり、突然、戦争を始める。
自立型長子の中国も日本も、日頃から些細な争いで、乱れを見せるのは、自己統制が出来てないようでみっともないことだと考える。
中国の場合は長子で弟妹を扱ってきた経験から、争わずに宣言する(叱る)。しかし、トラブル経験の無い日本は、抗議するより、黙り込んで自問自答してしまう。
そして両者とも、最後に、「切れる」。
宣戦布告は、日常的に、争いトラブルを繰り返している人が、「本気で手を出すぞ」と宣言するものだが、日常的に争いをしないと決めている人には、争いは、「宣言」などの日常ルールを越えるものだ。そこまでの平時に充分、耐えて警告している、と思っている。
弟妹の世界
しかし、世界のルールは弟妹方式だ。日頃から姦しく言い争い、相手との力関係を測る。
長子は、滅多に他人に相談しないし、相談するとしても、参考意見にするだけだが、弟妹は事あるごとに、他人に相談や告げ口、あるいは世間話や自慢話として話す。常に自分の考えを表明することで、相手の反応を見て方向を修正し、いざという時には、味方になって貰う下地を作っておく。日頃からコミュニケーションを取っておくことで心情的にも第三者と近くなる。
この結果、弟妹の集まりから見れば長子は、「いきなり」実力行使に出たように見える。その勢いで勝ちきれば、お叱りの「雷」となるが、最後の手段として動くので、一杯一杯の戦いになり、朝鮮戦争の中国、太平洋戦争の日本のように、勝ちきれない。なお、中国は国境戦争だったが、日本は遠征戦だ。これも、一人っ子の悪ノリと言えるだろう。
今回の日本の決定も、日本に道理があり、アメリカには了解を得ていたとしても、そこまで日本は、第三者に何も効果的な説明をしていない。こうした問題で、第三者に説明をすること自体がみっともないと考えるからだ。
困っても怒っても、他人には関係ない話だからと、我慢して内にこもり続け、最後に爆発すると、相手も周囲も驚く。
長子、一人っ子の「雷」に驚いている周囲に、「雷」を落とされたはずの本人が、「ひどいことしますよ~!あなたも危ないですよ」と、叫き立てれば、事情を知らない人は、「なんか知らないけど、とにかく止めて下さい、となる。
韓国得意の大騒ぎに、冷静に対応すれば、周囲は解ってくれるだろうと思うのは、論理思考の落とし穴だ。
慰安婦問題も、結局、事実上日本が負けた。問題を広げ、妥協合意したこと自体、負けだ。
原因は色々あるが、体裁を気にした日本が、ちゃんとした説明を第三者にしなかったことだ。
そもそもの失敗は、最初の一言に相手になったことだが、相手にした以上は、大々的に応戦しなければならない。中間児ロシアのように、徹底した沈黙を保てるなら別だが、日本人の小さな正義感が黙っていられない。
切り札としての情報温存は良いとして、今回、日本は、どこまで周囲に説明出来るだろう。今のところ、韓国の騒ぎ過ぎが日本に有利に働いているようだが、野次馬に、さりげなく情報を流しておくことは大切だ。兵法では人心を操ることの需要性を説く。日本はこういう時にこそ忍者を使わなければならない。
中国の謀略や、各国の諜報部にどれぐらい対抗できているのだろう。そもそも裏口と情宣で、韓国に勝ったことがあるのだろうか。(忍者半島)