トランプとドゥテルテの類似は、ヒトラーとムッソリーニのようなものだろうか。同じ時代には、同じようなアイコンが出現するものだ。
この「オッサン」達は、小難しいことを嫌う。
以前、鶴瓶のCMで、「旨いもんは、旨イッ!」と言うフレーズがあった。バブルの頃、グルメ、グルメと、美食の講釈が溢れていた時代に、「うるさいッ!」と、ブチギレたコピーに、皆、何となく納得して笑った。
トランプなどの、ポピュリズムが歓迎されるようになる背景は、不景気だけが原因では無い。世の中に、立前の講釈が溢れ過ぎ、立派な理想に息が詰まり始めるからだ。
世の中が安定し、きれい事がまかり通ると、差別だ、ハラスメントだと、うかつな言動が許されなくなる。しかし、現実は何も変わらない。むしろ、ネガティブ部分が封印され、「あってはならないこと」と黙殺されて、一向に解決しなくなる。
そこに、「旨いもんは、旨イッ!」、「王様は裸だ!」と叫ぶ人が現れると、それまで息が詰まっていた人は、「そうだ!」と、思わず叫んでしまう。
イギリスのブレグジットに賛成した人も、本当に決まったら、焦りだした。
年がら年中、感情を爆発させているような人達もいるが、理性的に立前を尊重している人ほど、定期的にブチギレる。日本の「ええじゃないか」は、60年に一度と言われているが、人類全体でも、感情を爆発させる時が、定期的に来るようだ。
単細胞な言動で憂さを晴らすトランプ、ドゥテルテよりも前に、粗雑な行動をまき散らしていたのは中国だ。
皆が、おしとやかに理性的にと、自制しているのを良い事に、行列に割り込み、怒鳴り散らし、スゴんで見せる、やりたい放題の中国に、もう、世界中が、「大人しくしている場合ではない」と感じ始めていた。
欧州では混乱を尻目に、一人勝ちしている中国が救いの神かと期待したが、どうもそうでもないらしいと思い始めている。直接被害を受け始めたアメリカや日本は、「これはヤバイ」と焦り始めた。
そんな空気が。直接間接にトランプ現象を生み出した。
実際、トランプやドゥテルテの様な、非常識でしか、中国には立ち向かえない。
長年、中国の理性の目覚めを期待してきた、日本を含む欧米は、もう万策尽きている。
「大国」中国の、下品な駆け引き腕力外交に、世界の人々は直接間接に、「目には目を」と感じ始めている。かといって、いきなり軍事衝突するような時代ではない。
上品にルールを守っていては、全部、中国に出し抜かれてしまうが、経済戦争を仕掛ければ、共倒れになる。先進国は、そう思って我慢してきたが、待てど暮らせど、中国が理性的な商取引に移る気配が無い。それどころか、領土侵略まで始めた。
世界は、中国が経済覇権を握るなら、それを否定はしない。中国が経済の心臓になるならむしろ大歓迎だ。しかし、中国は大きくなるにつれて、巨大な癌に成長し始めた。
これ以上看過していると、地球が冒されそうな勢いだ。もちろん中国には自覚が無い。
患部から遠い欧州には、ほとんど見えないが、中東の移民問題の元凶はアメリカの横暴だけではない。そこに便乗して漁夫の利を狙う中国の存在が影響している。中国はアメリカに張り付いた裏面であり、沈黙の臓器だ。
どこまで、世界の人々がそれを意識しているかは解らないが、今起こっていることは、製造、マネーの異常流通を引き起こす元凶、中国現象に対する、「ええじゃないか」と言えるのではなかろうか。
ここで一つ、面白いことがある。世界の申酉空亡のリーダーのことは「想定外の」で書いたが。
中でも主役の、バガボンパパそっくりの習近平が「これでイイのだ!」と、荒い鼻息を噴出すると、狂犬やテラーを家来に従えたトランプ桃太郎が、南シナ海の鬼ヶ島の前に立ちはだかった。
この二人どちらも、一日違いの双子座だ。戦いながら交互に誕生祝いを述べ合うことになるのだろうか。蛇の道は蛇、良い勝負になりそうだ。