転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



昼に梅田で和央ようかコンサートを観たあと、
阪急電車で河原町まで移動し、
四条南座にて、坂田藤十郎襲名披露公演夜の部観劇。
梅田から一緒だった、京都の和央ファン仲間と、
河原町の阪急百貨店で夕食を取って、たくさん語り、
さらには南座まで案内して貰って、とてもお世話になりました。
本当にありがとうございました<(_ _)>。

さて南座、坂田藤十郎襲名披露公演の、夜の部の演目は、
双蝶々曲輪日記・口上・本朝廿四考・相生獅子・三人形。
幹部俳優による口上のとき、音羽屋(菊五郎)の旦那さんを
咄嗟に見つけられなかった私を、殴って下さい(T.T)。
……というくらい、豪華版のキャストで全員が主役級だったのだ。
ここでの感慨は、雀右衛門を本当に久しぶりに観たことだった。
藤十郎の襲名だからこその登場だっただろうと思う。

さて、『本朝廿四考』の八重垣姫が、夜の部のお披露目演目で、
勝頼に菊五郎、濡衣に秀太郎、謙信に吉右衛門
白須賀六郎に梅玉、原小文治に仁左衛門という贅沢さ。
……なのだが、すみません、また殴って下さい、
私、これの十種香の場、昔、寝た記憶があって、
やっぱり今回も、眠かったっス(殴&蹴)。
藤十郎はとくに、本来の文楽の段取りを尊重しているらしいので、
動きも限定された(厳選されたというべき(T.T))ものになっていて、
舞台が動かないと意識が飛んでいく私にはツラいものがあったでした(^_^;)。

菊五郎自身の襲名披露のときに、十種香がやはり演目にあって、
八重垣姫を菊五郎、勝頼を先代の勘三郎、濡衣を梅幸、という、
超豪華キャストで上演していて、
多分、上方の演出とは異なるものであっただろうと思われ、
今なら十万円払っても観たいが、しかしあれも、
私のような阿呆が観ていたら、やはり眠かったんだろうか(爆)。

今回は、これのあと、奥庭の場もあって、私はこれは初めて観た。
更に文楽の形式を色濃く踏襲した、人形振りの演出がついていて、
始まりからして、「トザイ。…相勤めまするは………」
と口上があって、翫雀が人形遣いとして紹介され、
完全に文楽の舞台の再現で、出てきた藤十郎は、全く人形さながら!
翫雀との息もぴたりと合っていて、観ているともう、
生身の人間であるのを忘れさせられるほど、写実的な人形だった。
前半の十種香もこういう趣向でやってくれたら
私のような者でも眠気は来ないだろうと思った(まだ言うか)。

相生獅子は、鏡獅子などと同様に、
美しい姫君ふたりが舞い踊るうちに、獅子の精が宿り、
一旦引き揚げて、再登場したのちは豪快に獅子の舞を見せ、
頭を振ってカツラの毛先で舞台を叩くようなの、
……菖蒲打ち?で合ってます?……が大変な迫力、という舞踊。
今回は芝雀菊之助だったのだが、これがもう、綺麗のなんのって。

……というところで、大阪のホテルにいる家族から
早く帰ってこいメールが来たので、最後の三人形は観なかった。
孝太郎・愛之助・松緑という顔合わせだっただけに、残念だった。
しかし家庭内平和を優先して、今回は断念した。
これだけ遊んでおいて、今更だけど(^_^;)。

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梅田のシアター・ドラマシティの12時公演を観た。
前日が初日だったので、この昼公演はまだ二度目の公演だった。
なかなか面白かった。
この頃は本公演でいつも息を詰めて観ているので、
こういう娯楽に徹したような催しは久々で、実にいいなあと思った。

ライブ・コンサート、というからどんな凄いことになるのか、
と思ったが、そこはやはり宝塚の客なので全然おとなしかった。
ファンクラブ販売のペンライトを持っていない人は、
目線も貰えず、ノレなくて、気分的に取り残される、
というような話が事前に出回ったが、これも全く関係なかった(^_^;)。
ファミリーランドで昔売っていたオモチャみたいな、
いかにも宝塚な(あのセンスは凄いと真面目に感動した)星形の
電池式ペンライトが、確かに、会場のあちらこちらで揺れていたが、
持っていない人のほうが断然多かった。

たかこ(和央ようか)さんの女装があるらしいとか、
『渡る世間は鬼ばかり』の音楽で踊るとか、
スカイステージ放映のお稽古風景から出回った事前の情報も、
実際に観たら、あるにはあったが取るに足りない部分だった。

私としては、今回いちばん印象に残ったのが、まずは宙乗り
次に、完全に男役ではないが男装でもない和央ようか
オマケに、バックダンサー以上・相手役未満の花總まりの存在感

たかこさんが翔びたいと言っていて、宙吊りがあるらしい、
・・・というのも事前の噂で聞いていたのだが、
私にとっては、聞きしに勝った。
しかも個人的には、あまりに綺麗な宙乗りなので驚いた。
考えてみたら、私がこれまで知っていた宙乗りは歌舞伎がほとんどで、
しかも猿之助のキツネとか、ミュージカルと言ってもピーターパンとかで、
たかこさんがあの長身で飛んだら綺麗なのは道理だったのだ(爆)。
だが今回のは、かなり危険な振り付けもあった。
見応えはあるけれど、軽業師じゃないんだから(^_^;)、
あまり怖いことはしないで欲しい、と観ていてちょっと不安になった。
猿之助が5000回飛んでもぴんぴんしていたのだから、
まあ、滅多なことはない、とは思うけれども(爆)。

扮装としては、芝居ではないので、いわゆるバリバリの男役、
というつくりにはなっていない箇所が結構多かったと思うのだが、
さりげない格好をしていても、男装ではなく男役のラインを固持したのは、
さすがにたかこさん、巧いではないか、と感心した。
「普段のたかちゃん」が好きな人には見どころが多いだろうと思う。

(ひとつ、個人的な趣味としては、ルパンは長すぎると思った。
笑えるけれど、格好いいわけではないので、一場面だけで良いと感じた。
だがとっかえひっかえ歌って客席降りまであったところを見ると、
御本人もしくは作者の斎藤吉正氏は、ルパンをひとつの『見どころ』だと
考えて構成していらっしゃるということだろうか。う~ん(^_^;))

出演者は下級生がほとんどで、しかし皆、なかなか芸達者なのだが、
そこに花ちゃん(花總まり)がいて不思議な存在感を放っていた。
普段は、彼女は相手役なので、コンビとしての「タカハナ」だけれど、
今回は、完全にたかこさんがセンターで、
花ちゃんは数少ない要所で絡む、という感じがした。
ほかは、知らない間にバックダンサーのひとりとして出てきていた、
とびっくりしたところも数回あった。

私の見た公演は、まだ全体の期間の中でも二回目の日だったので、
たかこさんが巨大なアイドル(女装)のTakachangになったとき、
元祖アイドルのHanachangが、
『昨日、ウケたと思って、自信を持っちゃって』
とからかっていた。そして、ふたりとも、自分こそアイドルと主張して、
アドリブを交えた口論になるのだが、ここでたかこさんが花ちゃんに、
なによ!あんた、もう、古いのよ!
と言ったのが、この日はオオウケだった。
花總まりはトップ娘役12年目だということを皆、知っているからだ。

花ちゃんはわざと素の声で
『おぼえてなさいよ』
と凄んでみせ、たかこさんが、
『ごめんなしゃい』
と気弱に謝っていたのが可笑しかった。
このネタをギャグにしてしまうふたりは凄いと思った(^_^;)。

最後に、あのアンコールは、どう見たって折り込み済み、
想定の範囲内、という感じが、私は、した。
ファンクラブが引っ張りすぎる、という非難を事前に聞いていたので、
私としては、昔の仲井戸麗市のライブみたいな長いのを想像していて、
場内が明るくなって繰り返し終演の放送が流れても、絶対に帰らない、
みたいなものを覚悟していたのだが、これまた全然ちがった(^^ゞ。

そもそも、なかなか客電がつかなかった
客席が暗いままだったら、普通、拍手するしかないじゃないか。
私のライブの感覚では、客席が明るくなってからが本当のアンコール、
という気がしていたのだが、暗い間だけアンコールを要求して、
明るくなったらサッサとやめて帰る、というのは、
これまたいかにも宝塚的で聞き分けが良く、結構だとは思うが、
「つまりほんとの意味でのアンコールは、想定してないのね(^_^;)」
という意外さが、私には残った。終演時間も予告通りだった。
まあ、あれだけの内容のものを見せて貰ったのだから、
あれ以上、何かをやるべきだ、とは私は思わないけれど。

男役の役名がなくても、結局は男役であり続ける和央ようかと、
「ライブコンサート」を銘打っても最後までハメは外さない観客と、
・・・すべては、やはり一貫した「宝塚」だった、と私は思った。
そして勿論、あれで、良かったのだと思った。

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