転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



梅田のシアター・ドラマシティの12時公演を観た。
前日が初日だったので、この昼公演はまだ二度目の公演だった。
なかなか面白かった。
この頃は本公演でいつも息を詰めて観ているので、
こういう娯楽に徹したような催しは久々で、実にいいなあと思った。

ライブ・コンサート、というからどんな凄いことになるのか、
と思ったが、そこはやはり宝塚の客なので全然おとなしかった。
ファンクラブ販売のペンライトを持っていない人は、
目線も貰えず、ノレなくて、気分的に取り残される、
というような話が事前に出回ったが、これも全く関係なかった(^_^;)。
ファミリーランドで昔売っていたオモチャみたいな、
いかにも宝塚な(あのセンスは凄いと真面目に感動した)星形の
電池式ペンライトが、確かに、会場のあちらこちらで揺れていたが、
持っていない人のほうが断然多かった。

たかこ(和央ようか)さんの女装があるらしいとか、
『渡る世間は鬼ばかり』の音楽で踊るとか、
スカイステージ放映のお稽古風景から出回った事前の情報も、
実際に観たら、あるにはあったが取るに足りない部分だった。

私としては、今回いちばん印象に残ったのが、まずは宙乗り
次に、完全に男役ではないが男装でもない和央ようか
オマケに、バックダンサー以上・相手役未満の花總まりの存在感

たかこさんが翔びたいと言っていて、宙吊りがあるらしい、
・・・というのも事前の噂で聞いていたのだが、
私にとっては、聞きしに勝った。
しかも個人的には、あまりに綺麗な宙乗りなので驚いた。
考えてみたら、私がこれまで知っていた宙乗りは歌舞伎がほとんどで、
しかも猿之助のキツネとか、ミュージカルと言ってもピーターパンとかで、
たかこさんがあの長身で飛んだら綺麗なのは道理だったのだ(爆)。
だが今回のは、かなり危険な振り付けもあった。
見応えはあるけれど、軽業師じゃないんだから(^_^;)、
あまり怖いことはしないで欲しい、と観ていてちょっと不安になった。
猿之助が5000回飛んでもぴんぴんしていたのだから、
まあ、滅多なことはない、とは思うけれども(爆)。

扮装としては、芝居ではないので、いわゆるバリバリの男役、
というつくりにはなっていない箇所が結構多かったと思うのだが、
さりげない格好をしていても、男装ではなく男役のラインを固持したのは、
さすがにたかこさん、巧いではないか、と感心した。
「普段のたかちゃん」が好きな人には見どころが多いだろうと思う。

(ひとつ、個人的な趣味としては、ルパンは長すぎると思った。
笑えるけれど、格好いいわけではないので、一場面だけで良いと感じた。
だがとっかえひっかえ歌って客席降りまであったところを見ると、
御本人もしくは作者の斎藤吉正氏は、ルパンをひとつの『見どころ』だと
考えて構成していらっしゃるということだろうか。う~ん(^_^;))

出演者は下級生がほとんどで、しかし皆、なかなか芸達者なのだが、
そこに花ちゃん(花總まり)がいて不思議な存在感を放っていた。
普段は、彼女は相手役なので、コンビとしての「タカハナ」だけれど、
今回は、完全にたかこさんがセンターで、
花ちゃんは数少ない要所で絡む、という感じがした。
ほかは、知らない間にバックダンサーのひとりとして出てきていた、
とびっくりしたところも数回あった。

私の見た公演は、まだ全体の期間の中でも二回目の日だったので、
たかこさんが巨大なアイドル(女装)のTakachangになったとき、
元祖アイドルのHanachangが、
『昨日、ウケたと思って、自信を持っちゃって』
とからかっていた。そして、ふたりとも、自分こそアイドルと主張して、
アドリブを交えた口論になるのだが、ここでたかこさんが花ちゃんに、
なによ!あんた、もう、古いのよ!
と言ったのが、この日はオオウケだった。
花總まりはトップ娘役12年目だということを皆、知っているからだ。

花ちゃんはわざと素の声で
『おぼえてなさいよ』
と凄んでみせ、たかこさんが、
『ごめんなしゃい』
と気弱に謝っていたのが可笑しかった。
このネタをギャグにしてしまうふたりは凄いと思った(^_^;)。

最後に、あのアンコールは、どう見たって折り込み済み、
想定の範囲内、という感じが、私は、した。
ファンクラブが引っ張りすぎる、という非難を事前に聞いていたので、
私としては、昔の仲井戸麗市のライブみたいな長いのを想像していて、
場内が明るくなって繰り返し終演の放送が流れても、絶対に帰らない、
みたいなものを覚悟していたのだが、これまた全然ちがった(^^ゞ。

そもそも、なかなか客電がつかなかった
客席が暗いままだったら、普通、拍手するしかないじゃないか。
私のライブの感覚では、客席が明るくなってからが本当のアンコール、
という気がしていたのだが、暗い間だけアンコールを要求して、
明るくなったらサッサとやめて帰る、というのは、
これまたいかにも宝塚的で聞き分けが良く、結構だとは思うが、
「つまりほんとの意味でのアンコールは、想定してないのね(^_^;)」
という意外さが、私には残った。終演時間も予告通りだった。
まあ、あれだけの内容のものを見せて貰ったのだから、
あれ以上、何かをやるべきだ、とは私は思わないけれど。

男役の役名がなくても、結局は男役であり続ける和央ようかと、
「ライブコンサート」を銘打っても最後までハメは外さない観客と、
・・・すべては、やはり一貫した「宝塚」だった、と私は思った。
そして勿論、あれで、良かったのだと思った。

Trackback ( 0 )



« 果てしない物語16 南座夜の部 »